ダイエットにおける最適摂取カロリーを考える


はじめに


今回は、筋トレダイエットを始めるにあたって、摂取カロリーをどうやって決めるべきかという話です。

「急激なダイエットは良くない」という話はよく聞きますが、では、どうすればよいかという話になると、「焦らずにゆっくりダイエットしましょう」といった感じで、具体的な計算方法を教えてくれる情報は今一つなかったりします。

そこで、筋トレダイエットと共に食事管理を始める人に向けて、どうやって摂取カロリーを設定するかという話を理論的に説明したいと思います。

なお、途中やたら消費税の話をしていますが、最終的にダイエットの話に戻りますから、安心してください(個人的には非常にわかりやすい例だと自賛しています)。

素朴な疑問


まずは素朴な疑問から話を始めます。

ある人がダイエットを思いつきました。

食事制限でマイナス500kcal、有酸素運動で500kcal消費、さらに、筋トレで500kcal消費することで、合計1500kcalを1日で痩せようとしました。このダイエットはうまくいくでしょうか。

そんな過激なダイエットがうまくいかないのは良くご存じだと思います。

しかし、ダイエットを頭で理解しようとしている人は皆知っているはずです。体重増減はカロリー収支が全てであると。

消費カロリー>摂取カロリーとなっていれば、必ず不足カロリー分だけ体重は減るはずです。

であれば、食事制限や運動でカロリー不足を1500kcal作り出せばそれだけ痩せるはずです。

一体これがうまくいかない理由は何でしょうか。

一つ変えると他も動く


具体的に考えるために消費税の話をします。

今消費税は8%ですが、税制改正して16%にしたら、税収は2倍になるでしょうか。

なるはずがありません。消費税が高くなれば、売り上げ自体が落ちるからです。

では、一体税率は何%が適切なのかというのは難しい問題です。もちろん実際は政治の問題ですし、ペーパーテストのようにはいきませんから、経済学者やスーパーコンピューターを総動員しても正解を出すことはできません。未来を計算する方法はありませんから、やってみなければわかりません。

しかし、あれこれ前提条件を与えて、これを数学の問題風にすると説くことは可能です。
もっとも、理系の方ならわかると思いますが、微分積分を使わないと解けない問題です。一つ動かすと、式の別のところも動いてしまうからです。

式で考えると以下のようになります。

売上×消費税率=税収

売り上げ自体を伸ばしたいなら税率が低い方が良いに決まっていますが、税率を下げてしまえば当然税収は減ります。その一方で、税率が高くなれば売り上げ自体が落ちて税収も減ります。

なんとなくで考えると、中ぐらいの税率で中くらいの売上を実現するのが一番税収は高くなりそうです。

式自体は非常に簡単なのですが、消費税率を変えると売上自体が変わるから、消費税を増減させたときに、税収が増えるかどうかが分からないわけです。

これと同じようなことが、カロリー計算にも潜んでいるのです。

カロリー計算の複雑さ


体重変動の原則は単純である。消費カロリーと摂取カロリーの差である。これはエネルギー保存の法則という物理の大原則だから絶対である。

まったくもってその通りです。

しかし、上記の消費税と同じような問題が潜んでいるから、ダイエットは難しいのです。

摂取カロリー-消費カロリー=カロリー不足

これはその通りです。しかし、消費カロリーがカロリー不足によって変動するのです。

より具体的に言うと、消費カロリーは基礎代謝と活動代謝の合計ですから、

摂取カロリー-(基礎代謝+活動代謝)=カロリー不足

となります。

ここで、活動代謝や摂取カロリーは運動量や食事量で確定します。なんの疑いもない、足し算の世界です。電卓で正解が出せます。

しかし、カロリー不足の大きい状況で人間の体は代謝を遅らせるので、カロリー不足が大きくなればなるほど、基礎代謝が小さくなり、カロリー不足が小さくなります。

厳密にいうと、カロリー不足ではなく、活動代謝と摂取カロリーにより、基礎代謝が影響を受けます。運動をたくさんしているのに、食事量が少なかったりすると、代謝が遅くなるのです。

つまり、カロリー不足の分だけ体重は減るはずですが、運動により活動代謝を変えたり、食事制限により摂取カロリーを変えたりすると、もう一つの基礎代謝まで変わってしまうのです。

消費カロリーと摂取カロリーの等しい教科書事例的な人がいたとします。2000kcal-2000kcal=0kcalだったところを、食事制限で摂取カロリーを500kcal減らして、運動で消費カロリーを1000kcal増やすことで、1500kcal―3000kcalにして1500kcalのカロリー不足が実現するかと言えば、ならないのです。

運動量を増やすとともに食事量を減らすなんて言うのは、体にとっては異常事態でしかありませんから、体は代謝を遅くするとともに、筋肉を分解して、代謝自体を減らし始めます。

つまり、瞬間的に1500kcalの不足は生じるかもしれませんが、すぐに基礎代謝自体が落ちていき、不足分がぐんぐん落ちていきます。計算上出てきた1500kcalの不足と言うのは、瞬間的なスナップショット(静止画)の話であり、すぐに事情が変化していきます。

最初の1週間は体重が落ちるかもしれませんが、その後、体重減少スピードがグングン落ちるとともに、筋肉がどんどん落ちていきますから、体脂肪率は減らず、痩せていく感覚がなくなっていきます。さらに、急激なカロリー不足は水分量の増加を招きますから、見た目だけでなく、体重計の数字にも変化が出てこないかもしれません。

今ある状態から、カロリー不足を作り出すと、そのカロリー不足によって計算の前提自体が変わって、想定したカロリー不足にならない。これが、カロリー計算のむずかしさです。

では、この特徴を踏まえたうえで、ダイエット計画を立てるにはどうするのが良いのでしょうか。

継続した現在があるという事実


また、消費税の話に戻ります。

上で議論したのは、一体税率をいくらにすれば税収が最大化するのかという話でした。

しかし、この話は、経済学者はするかもしれませんが、現実に役立つ意見ではありません。

なぜかというと、すでにある程度の期間継続した今があるからです。

つい最近まで、消費税は5%でしたが、最近8%になりました。そして、近い将来10%になる予定です。二段階の税率アップが最初から予定されていました。

ここで、経済学者やスーパーコンピューターが難しい方程式を解いて、消費税率は15%が最適であるといった答えを出していたとします。

では、8%ではなく、15%にしたら、その経済学者の計算の通りになったでしょうか。

そう簡単にはいきません。なぜなら、すでに5%で国民の生活が回っていたからです。

「15%になると支出は増えるように考えるかもしれないが、その税収の効果的な利用により福祉が充実し、国民のトータルの便益はプラスになるはずだから、今まで通り支出するのが合理的」などと、学者や政治家がいくら理論的説明をしたところで、国民にとっては、消費税が3倍になるとしか映らないので、売上は減るわけです。

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どういう状態が最適かではなく、今と比較しての変化で我々は動きます。

そして、理論的に適切な税率がいくらであれ、今よりも税率を上げればあげるほど、売上は減り、税率上昇に伴う税収増加はうまくいかなくなる運命にあります。

5%を3倍にして15%にしたら、税収は3倍どころか、2倍にもならないかもしれません。しかし、5%を5.05%にしたら、税率の上昇がわずかなので、売上はほとんど影響を受けず、税率の上昇率である1%だけ、税収も伸びるかもしれません。

このように、理論値がどうであれ、継続した今がある以上、真空状態に何かが発生するような理論は通用しません。何が起きるのかは、今に対する変化と言う観点で考えなくてはならず、結論としては、今と比べて変更幅が小さければ小さいほど、変化は効率的に進むことになります。

したがって、税収を最大化するためには、税率を5%から8%にして、その3年後に10%にするよりも、1年ごとに1%、それどころか半年ごとに0.5%、さらには1か月ごとに0.1%増やしていく方が、増税による売り上げ減少インパクトは小さくなりますから、税収は大きくなります(理屈上)。

しかし、現実世界でそんなことをしたら、経済は大混乱になりますので、どうしても、“飛び石”にならざるを得ず、現状のような形になっています(それが最適かどうかは知りませんが)。

変化量こそが調整対象


なんとなくお分かりかと思いますが、これが、カロリー計算にそのまま当てはまります。

活動代謝と摂取カロリーに応じて、基礎代謝が下がり、想定したカロリー不足にならないという事実があります。

以下、活動代謝を一定とし、カロリー不足は、摂取カロリー(食事量)の調整によって決まるとします。

そして、摂取カロリーが低くすればするほど、当然痩せるスピードは速いはずなのですが、急激なカロリー不足を実現すればするほど、基礎代謝の減少率も増えて、急激にカロリー不足が解消され、どこからか非効率になってきます。

ここで、では一体いくらの摂取カロリーを実現すればよいのかと考えるのは良くありません。我々の体は現状からの変化に反応するからです。

一定期間継続した今があることを前提にすれば、カロリー不足を大きくすればするほど、カロリー不足による基礎代謝の減少は大きくなり、カロリー不足が小さいければ小さいほど、効率的なダイエットが可能となります。

したがって、ダイエットの効率を追求するのであれば、カロリー不足を小さくすればするほど良いというのが結論です。

摂取カロリーを減らさないのが一番効率的なのです。

しかし、消費税を0.1%ずつ上げていくのが現実的ではないように、摂取カロリーも毎日10kcalずつ下げていくなんていうプランはやってられません。

ではどうすればよいのかという疑問に答えて、具体的な計算方法を以下に示します。

しかし、ここまで読んでお分かりのように、以下の方法は理論的に最適な方法ではありません。理論的な結論は、下げ幅を小さくすればするほど効率的という、極めて非実践的なものです。

消費高齢化社会で福祉関連費用に充てるため消費税増税が避けられない状況で、消費税率5%の次をどうするかという疑問に対して、「8%がいいんじゃないか」といったような、ただ穏健なだけの意見です。なぜ7%や9%ではないという理論的な背景はありません。

具体的な設定方法


1.まず、週2から3回程度の筋トレを開始します。しかし、摂取カロリーは減らしません。

1週間の総摂取カロリーを合計して7で割り、平均摂取カロリーを計算します。そして、そのトータルカロリーを毎日安定して取るとともに、脂肪から15%、たんぱく質を目標体重の2.2倍摂取し、残りを炭水化物で摂取するようにします。

活動代謝が増えた分、今と比較して、カロリー不足は増えたはずなので、摂取カロリー調整をして追加でカロリー不足を増やす必要はありません。

2.鏡に映る自分の姿に変化が1週間以上感じられなくなったら、トータルカロリーを15%減らします。トータルカロリーの15%は脂肪から、たんぱく質を体重の2.2倍摂取、残りは炭水化物から摂取というルールは変わりません。

3.以上を繰り返します。

こうやって、適切な栄養バランスは実現しつつ、摂取カロリーを少しずつ下げていくのが一番良い方法です。もちろん、下げ幅を10%や20%に変えた時との比較はわかりません。個人によって結論は違ってくるはずで、やってみなければわかりません。

しかし、20%は下げ幅としては大きすぎ、15%位は筋トレとスモールミールで基礎代謝を維持できるというのが通説みたいです。

別の視点


以上の話を別の視点から眺めると、

1.まず、ダイエットをするということは、カロリー不足を作り出すことですから、必ず代謝は遅くなります。

そうすると、良いダイエットのための方法論というのは、どれだけ代謝を高く保つかに尽きます。したがって、一番重要な原則はスモールミール(少量多食)です。空腹時間ほど、代謝を遅らせる原因はありません。

筋トレで代謝を上げることも大事ですが、空腹時間が増えるほどその効果は減少します。

2.自分の消費カロリーを知る計算、特に、基礎代謝は筋肉量で決まるのか、体重によって決まるのかという議論のむなしさです。

体重や筋肉量によって決まるかと言えば、そもそも、実際のところは、摂取カロリーの影響を受けます。そして、摂取カロリーを変えれば変えるほど、基礎代謝も変わってきます。

しかも、基礎代謝の変更を促すのは、摂取カロリーの変動です。

つまり、自分の体重、筋肉量、運動量から消費カロリーを計算して、それに基づいて摂取カロリーを計算する方法は致命的な欠陥を持っています。

いくら、自分にとって最適な摂取カロリーが1500kcalだとしても、現在、平均で2000kcal以上摂取しているのであれば、食事管理により1500kcalに減らすのは間違いなく、基礎代謝の大幅な低下を招くことになり、効率的なダイエットとは言えないからです。

終わりに


今回は、摂取カロリー計算に難しさについて、少し理屈っぽく説明しました。

言いたいことは、真空状態に何かを描くような理論の非実践性です。

継続した今がある以上、今から何を動かすかが一番重要です。我々が反応するのは現状からの変化に対してだからです。

食事管理も、筋トレの大原則であるオーバーロードの原則と本質は同じです。

長々と説明しましたが、体組成や日常活動量から消費カロリーを計算して、それに基づいて摂取カロリーを計算する方法に潜在する欠陥に気づいてもらえれば幸いです。

プライベート空間でダイエット&ボディメイク
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