クレアチンについて:その効果と摂取方法


はじめに


今回はクレアチンについてです。

クレアチンは、即効性のあるサプリ、効果が体感できるサプリとして紹介されることも多いサプリメントです。しかし、今一つその仕組みは理解されていないところもあると思うので、解説してみたいと思います。

なおクレアチンは筋トレのパフォーマンスを上げることで間接的に体作りに貢献するというのが主な効果です。女性にも勧められるサプリですが、あくまで筋トレの充実度が上がるというものですので、ちゃんとしたウェイトトレーニングをしていない人(自宅で腕立て伏せやスクワットをしているだけの人等)に勧められるものではありませんし、また、飲むだけで筋肉が増えるとか、脂肪が燃えやすくなるといったものではありません。(ここ、従来女性には勧められないと結構極端なこと書いていたのですが、極端すぎたのと、実際に自分のスタジオの女性のお客様で、きっちりと筋トレしている人にはクレアチン勧めても良いかなと思うことも多くなったので意見変えました。ご容赦ください。)

なお、記事の最後に参考文献をのせていますが、主にアメリカで人気のジム・ストッパーニ、マイケル・マシューズ及びクリス・アセートの書籍を参考にしています。

クレアチンとは何か


クレアチンとは

まず、クレアチンは動物の体内に存在するたんぱく質です。したがって、あまり聞かない名前かもしれませんが、人工化合物等ではありません。もともと人間の体の中に存在し、アルギニン、メチオニン、グリシンといったアミノ酸から合成されるものです。

クレアチンサプリメントとは、そのクレアチンを補うために摂取するサプリメントです。また、クレアチンに関する研究論文の数は200を超え、スポーツサプリメントの中で最も研究されているものです。

クレアチンの種類

クレアチンの種類は豊富でいろいろあります。しかし、クレアチンモノハイドレートがスタンダード製品であり、クレアチンの効果を実証した研究論文等でもほとんどがこれを対象としています。

したがって、クレアチン関連商品の中には、クレアチンの後がモノハイドレートではなく、塩酸塩(ハイドロクロライド)、ナイトレート、エチルエステル、マレートといろいろありますが、それを含む製品がクレアチンモノハイドレートよりも効果が高いと謳っているのであれば信じてはいけません。そこら辺はまだ検証中というレベルです。

以上から、商品選択で迷う必要はなく、クレアチンモノハイドレートを摂取すればよいのですが、他の製品はいずれも、クレアチンモノハイドレートが水に溶けにくいことから、水溶性を高めようとして開発されたものです。モノハイドレートを飲むと胃に負担がかかるという人は、より水溶性の高いものを摂取するのが良いかもしれません。
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クレアチンの機能


エネルギー源

クレアチンは筋肉中においてクレアチンリン酸という形で存在します。そしてクレアチンリン酸はATP(アデノシン三リン酸)を作ります。

ATPは体を動かすエネルギー燃料の最終形です。エネルギー源と言えば炭水化物ですが、この炭水化物も体の中で分解され、最終的にグルコースという物質になります。このグルコースが体を動かす燃料と表現されることも多いのですが、正確にいうとグルコースはATPを作る物質であり、ATPこそが体を動かす燃料です。そして、グルコースだけでなくクレアチンリン酸もATPを作るわけです。

グルコースは筋肉内に筋グリコーゲンという形で貯蔵されていて、グルコースに分解されてからATP合成に利用されますが、クレアチンリン酸は筋肉内にそのまま存在しますから、ATPが足りなくなったらすぐに利用されます。つまり、運動が一定以上(15秒以上)続くとグルコースが登場するのですが、瞬発系の運動では(特に動き出しでは)、グルコースではなくクレアチンリン酸がエネルギー源として働きます。

したがって、筋トレのような短期間で力を爆発的に利用するような運動では、クレアチンリン酸の利用の割合は高くなります。

その結果、クレアチン貯蔵量が増えることはすぐに使えるエネルギーが増えることを意味しますから、扱える重量及びレップ数(持ち上げる回数)が増えることになります。パワーも強くなるしある意味スタミナの増強にもなります。その分強度の高いトレーニングを行い、筋肉に強い刺激を与えることが可能になりますから、筋肉の成長を加速させることができます。

あくまでトレーニングの充実度を向上させることにより、筋肉成長を加速させるというのがクレアチンのメインの効果です。

細胞増大機能

クレアチンの摂取は除脂肪体重を増加させることが分かっています。

クレアチンはたんぱく質ですから(分子が大きい)、筋肉内に存在するためには周りに多くの水が必要であり、血液や細胞の周りにある細胞外液から筋肉内に水を引き込みます。つまり、筋肉内のクレアチン貯蔵量が増えるということはその分だけ筋肉内の水分量が増えるということです。

したがって、クレアチン摂取により除脂肪体重が増えると言っても筋繊維が増えたり太くなったりしているわけではなく、保有水分量が増えているだけです。

もちろん、外部からは、増えたのが水分なのか筋繊維なのかの判別は尽きませんから、クレアチンをとると急速にムキムキになったように感じ、即効性があると言われます。特に、上述のエネルギー源としての機能により、扱う重量やレップ数が増えますから、本人的には急激に筋肉がついたように感じ、即効性がある上に体感できる数少ないサプリメントと言われたりします。

筋肉成長効果

トレーニングの充実による筋肉成長の促進という間接的な効果ではなく、クレアチン摂取自体に筋肉成長を促進させる直接的な効果があるのかという議論です。ここは議論のあるところです。というよりよくわかっていないのかもしれません。したがって、かなり参考書籍に忠実に書きます。

クリス・アセートはその著作の中で、クレアチン摂取には筋肉成長を促進する機能があるとしていますが、その理由はよくわかっていないと述べています。もっとも、ハードなトレーニングによって、クレアチンとATPの貯蔵量が増えると、筋肉細胞内の体液と血液の貯蔵量が増えるから、それが筋肉の成長を加速させるのだろうと述べています。

ジム・ストッパーニはいろいろな論文を引っ張り出して、ワークアウトの充実による筋肉成長という間接的な効果ではなく、クレアチン摂取による直接的な筋肉成長効果を説明しています。

まず、クリス・アセートと似ているようで似ていないのですが、水分量の増加により細胞の体積が増し、細胞膜が引っ張られるのでこれが長期的には細胞を大きくすること(成長)を促進すると述べています(特別おかしい意見ではない気がします)。

また、クレアチンを摂取したことにより筋肉の成長にとって重要な成長因子IGF-Iの増加がみられたという2008年の論文と、クレアチンの摂取がミオスタチン(筋肉量を制御するたんぱく質)を減少させたという2010年の論文を引用し、クレアチンの摂取には直接的に筋肉成長を促進する働きがあると説明しています。

まとめ

エネルギー源としての働きにより、トレーニング強度が上がり、その結果として筋肉の成長が促進されるというのがクレアチンの一番の効果です。水分保有量が上がるというのは見た目の向上には間違いなく貢献しますが、それが筋肉成長につながるのかどうかはまだわかっていません。

もっとも、そもそもエネルギー源としての間接効果が発生しているのであれば、それとは別に直接的な効果があるか否かは、検証は難しい気もします。また、研究者以外のトレーニーにとっては、筋肉成長が直接的な効果か間接的な効果はあまり重要ではなく、効果があることが分かっている以上それで十分だと思います。

クレアチンの摂取方法


ローディング

クレアチンの摂取方法として、最初に1日20g位摂取するローディング期を1週間くらい取ってから、その後は維持期として1日5g位摂取するというローディング法が有名です。

しかし、マイケル・マシューズは、最初に大量に摂取してローディングすると、効果が出るまでが早くなるのかもしれないが、特にする必要はないと述べています。ジム・ストッパーニはクレアチンの効能を長々と書きながらもローディングについて触れてもいません。また、クリス・アセートは、昔はローディング期が必要とされていたけど、特にいらないというのが栄養士やアスリートの合意であると説明しています。

有名サプリメーカーでも、クレアチン商品の裏にローディングの必要性を欠いている商品は少ないです。特に、大手の一つであるMuscle Pharmは、わざわざローディングはいらないと書いています。

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長年の議論に反し、ローディング不要というのが大勢のようです。

摂取タイミング

ここの議論は個人的に面白いと思います。大きく分けて、指定なし、トレーニング後、トレーニング前後の3パターンの主張があります。なお、サプリメーカーの推奨摂取方法を見ると各社いろいろなこと言っています。

(1)指定なし

Muscle TechとOptimum Nutritionという老舗の大手サプリメーカーは、ローディングを推奨する一方で摂取タイミングには言及していません。クレアチンサプリメントの目的は体内のクレアチンレベルを高く保つことであり、継続的に補給していればそれでよいという考え方なのだと思います。

クレアチンが体内で合成可能なたんぱく質であることや、あくまでトレーニングのエネルギー源であることを重視すると、トレーニングで失われたからと言って、あわてて補給するものではないのかもしれません。単に毎日一定量を補給すればよいということになります。

(2)トレーニング後

マイケル・マシューズとクリス・アセートはトレーニング後に摂取すればよいと述べています。

トレーニング後に取るべきという人たちの根拠は、ハードなトレーニングでクレアチンが失われているからトレーニング後に補うのがよいという単純な理由がまずあります。

また、トレーニング後はすぐに炭水化物を摂取するはずで、インスリンレベルが上昇しますが、クレアチンを筋肉に送り込むのにインスリンが重要な働きをすることが分かっていますから、そのタイミングでクレアチンを取るのが理想的であるという考え方です。

(3)トレーニング前後

トレーニングの前後で共に摂取するべきだというのはジム・ストッパーニの主張です。

クレアチンはハードなトレーニングのエネルギー源になるのだからトレーニング前に取るべきだし、また、トレーニングで失われたのであるから、トレーニング後にも補給すべきで、炭水化物と共に取るのも効率的な摂取方法であるという考えです。

(4)私見

この3つについての個人的な見解を述べると、ジム・ストッパーニの考えに賛成です。理由はわかりやすいからです。

クレアチンの効果はいろいろありますが、最大の効果はエネルギー源としてであり、扱える重量やレップ数が増えることによりトレーニングの強度を上げ、間接的に筋肉成長を促すというものです。であるなら、トレーニング前に摂取しておくというのは合理的だと思います。

また、細胞内の含有水分量が増すことにより筋肉成長が促進される可能性があるというのも、あり得る話であり、トレーニング後に炭水化物と共に補給するというのも合理的だと思います。

効能としてはBCAAに極めて似ている気がするので、同じように摂取するのが整合的な気がします。

BCAAの記事で少し書いたように、ジム・ストッパーニはサプリメーカーとべったりなので、2回摂取させて多めに買わせようとしているだけなのではと疑ってしまいますが、クレアチンの摂取量として、クレアチン塩酸塩(Creatin Hydrocloride)をトレーニング前後にそれぞれ1.5gから2g摂取することを勧めているあたりは、ローディングを勧めていないことも考えると決してビジネス目的の意見ではないような気がします。

また、確かにクレアチン塩酸塩は飲みやすさは圧倒的な気がします。持ち運び等を考えるとクレアルカリンが良いかもしれません。

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摂取量

摂取量は1日5g(クレアチンモノハイドレート)がよく登場する数字です。クリス・アセートは体重70kg以下なら2から4gで十分だろうと述べています。ただ、商品の種類も豊富であり、メーカーによっては1日何g以上摂取してはいけないと摂取方法を細かく書いてあるものも多いのでそれに従うのが大事かもしれません。

クレアチンの副作用


マイケル・マシューズとジム・ストッパーニは、クレアチンについては十分な研究の蓄積があり、これに基づくとクレアチンは安全であり、短期的にも長期的にも副作用がないことが科学的に実証されていることを強調しています。特に、腎臓や肝臓に悪影響があるという意見への反論としてジム・ストッパーニは大量の論文を引用して、根拠がないと説明しています。最長で6年間継続摂取したアメフト選手達を追跡した結果、腎機能と肝機能に何の問題もなかったという論文があるそうです(ほかにも2年間摂取と1年間摂取の2本の論文が引用されている)。もっとも、もともと何らかの疾患があれば別の話であるのは当然です。

また、それに関連して、長期的な摂取が有害であるという科学的な根拠がない以上、クレアチン摂取のサイクリング(摂取を控える休憩期を設けること)が必要とする科学的理由はないとマイケルマシューズは述べています。

クレアチン豆知識


アーノルド・シュワルツネッガーは、17歳のころから毎日大量の赤身の肉を食べており、プロビルダーになった後も減量中の時でさえ食べ続けたと言います。実はこれは非常に正しい行為で、赤身の肉はクレアチンが豊富です。その一方で、鶏肉、卵白、魚にはクレアチンがほとんど含まれていません。したがって、赤身の肉を食べるというのは筋トレをする人にとっては非常に重要です。特に減量中にエネルギーレベルを高く保つためにはクレアチンは重要な役割を果たします。したがって、ささみもタンパク源としては良いですが、赤身の肉もしっかり食べるようにしましょう。

まとめ


クレアチンサプリメントはいろいろな効果をうたっているものが多いですが、あくまでメインの機能はエネルギー源なので、パワーやスタミナが増し、トレーニング強度が上がる結果、間接的に筋肉成長に貢献するというサプリメントです。

直接的な筋肉成長促進効果については未だ議論が不十分ですが、これを裏付けるポジティブなデータがあるようです。もっとも、トレーニング強度の上昇が起きているのであれば、それと分けて筋肉成長促進効果を測定するのは難しいのかもしれませんし、トレーニーにとってはその必要もないのかもしれません。

終わりに


クレアチンは取っても意味がないと主張する人がいない数少ないサプリメントです。そして、研究例も豊富で安全性も問題ないようなので、体を大きくしたい人で財布に余裕がある人はとらない理由はないかもしれません。

もっとも、初心者の人で、中級者と言えるようになるまでは取らずに我慢するという気持ちはよくわかります。そういう人は赤身のステーキを食べましょう。和牛なんて食べる必要ありません。ハナマサに行って”おいしいステーキ”みたいな固くて脂身の少ない安いやつを買ってきて毎日食べましょう。

参考


Jim Stoppani. Jim Stoppani’s Encyclopedia of Muscle & Strength
Michael Matthews. BIGGER LEANER STRONGER
Chris Aceto. Championship Bodybuilding

プライベート空間でダイエット&ボディメイク
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