筋肥大目的のトレーニングに必要な要素


はじめに

今回の記事は、筋肥大を目的とした場合のトレーニングに必要な要素を再整理してみるというものです。

部分的には他の記事で散々説明していたりもするので再整理です。

なんでこんな記事を書こうと思ったかというと、石井直方大先生の筋肉の科学という本を読んで、考えるところがあったからです。

この本は読みやすくてとても良い本だと思います。筋トレしている人で、理屈を知りたくなる人にはお勧めできます。

しかし、読んでいていくつか気になる点もあります。

まず、見開き1ページで1トピックという構成になっており、もちろん、一つのトピックについて①、②、③といったように、何ページかに渡って説明しているところもあるのですが、それでも、1ページごとに独立しているといっても過言ではなく、わかりやすい反面、無理やり見開き1ページで終わらせている感じで、多くのトピックがあっさりしすぎていて、物足りなさやぶつ切り感を感じさせる作りになっています。

また、広範なトピックを対象にしているため、筋トレの理屈は知りたいけど、筋細胞の仕組み自体に興味があるわけではない人には見出しを見ただけで飛ばしてしまいそうなトピックも多かったりします。

最後に、これは個人の暴走気味の感想ですが、99%を99%と言わなくてはいけない学者はやはり大変だなと、もっというと、そういう人の書いた本は結局初心者には優しくないのかなという感想を持ちました(ここは難しいところですが)。

その点、私には、初心者のためにわかりやすさを最優先するという自家製免罪符もありますし、80%くらいあれば、ほぼ100%などと言ってしまったり、自分がどうでもよいと感じたところは遠慮なくすっ飛ばす図々しさもありますから、筋肥大目的のトレーニングに必要な要素という観点から、ぶつ切りではなく、この本で説明されているような話を、一気通貫的な書き方で説明すると、筋トレ初心者の皆さんの役に立つかなと思いました。

相変わらず、イントロが長くてすいません。

As to methods, there may be a million and then some, but principles are few. The man who grasps principles can successfully select his own methods.The man who tries methods, ignoring principles, is sure to have trouble. -Emerson

<勝手訳>
メソッドは何千とあるが原則と言えるものはほんの少ししかない。原則を理解する者は自分に合ったメソッドを上手く選ぶことが出来るが、原則を知らずにメソッドを試す者は必ず失敗する。エマーソン

どこまでわかっているのか

筋肥大には二つの仕組みが関連しています。それは、筋繊維再生系とタンパク質代謝系です。

この二つの仕組みの詳細な説明は飛ばしますが、筋繊維自体を増やす働きと(本当はややこしいので、とりあえずこう説明しておきます)、筋繊維中のたんぱく質を増やす働きの二つがあるということです。1本の筋繊維中のたんぱく質が増えればいわゆる筋肥大ですが、それにも限度があるので、筋繊維自体増やす筋繊維再生系も筋肥大にとって重要であるといった理解で良いかと思います(正確な詳細は本を読んでください)。

この二つについては、まだわからないことも多い反面、少しずつ分かってきているともいえるそうです。しかし、一番大事なことは、この二つは、工場の中で行われている仕組みの話ということです。

筋トレしている人が一番知りたいのは、どういう刺激をすると、二つの仕組みが効率的に働きだすのかという点であり、つまり、工場の生産ラインの構造ではなく、工場に本社管理部が増産指示を出す仕組みを知りたいわけです。

しかし、残念ながら、現代の科学でもここが全然わかっていない。

最先端の科学で筋肥大の仕組みが解明しつつあるなんて言ったところで、それは筋肉中のたんぱく質合成の仕組みの話であって、一番私たちが知りたい、その上流プロセス(何がきっかけで筋肥大の仕組みが走り始めるのか)に関しては全然わかっていないようです。

つまり、どういう筋トレが筋肥大に一番効率的なのかとか、筋肥大に必要なトレーニングは何かという疑問の答えとしては、科学的には、再生系と代謝系を効率的に刺激させるトレーニングといった禅問答のような答えしかないのが現状で、結局諸先輩方の経験から導き出すしかなく、その結果、当然のように細部では意見も割れるわけです。

そういう意味では、ここから先の筋肥大目的のトレーニングに必要な要素というのは、経験に依存するところが大きいもので、100年後には否定されている部分もあるかもしれません。

科学的根拠に基づくミクロな議論を希望したところで根拠がないのでどうしようもありません。また、今ある根拠だけをパズルのピースのように組み合わせても人間にはなりません。

まず、重量が大事

10RMで3セットというのが筋肥大のための筋トレの基本であるのはよく知られています。

結構飛躍しますが、10RMで3セットの一番の特徴は何かといわれれば、それは、そこそこ重いもの、つまり高重量でトレーニングするという点につきます。

その反面、軽い重量だと筋肥大しない(厳密には効率的ではない)というのは、世間的には知らない人が結構いたりしますが、このブログを読んでいる人にとっては常識かと思います。

これは、なぜでしょうか。

その理由は、2つで合わせて一本ですが、肥大するのは速筋である点と、体はエネルギー効率の良い遅筋を優先して使おうとする点にあります。

遅筋だけでなんとかなるウェイトを持って、遅筋をいくら刺激しても肥大しないわけですから、遅筋だけでは足りず、速筋を稼働する状況に体を追い込むことが必要となるわけです。

それは、ある程度重いもの、つまり、速筋まで稼働しないと持ち上げられないようなものを持つことを意味します。

そういう意味では、筋肥大のための筋トレにとって一番重要なことは、重量だということになります。

速筋の稼働がカギだとすると

以上のような理由で、重量が一番重要だと考えられてきました。

しかし、重量が重要なのは速筋を稼働するためということは、軽重量でも速筋を稼働することができるのであれば、何も高重量を扱うことは不可欠ではないということになります。

そこで登場するのが、加圧トレーニングやスロートレーニングです。

体はエネルギー効率の高い遅筋から使おうとすると言いましたが、遅筋のエネルギー効率がなぜ高いかというと、それは、酸素を使うからです。いわゆる有酸素運動で使われる筋肉ですが、遅筋の稼働の前提にあるのは、酸素が継続的に供給される状況です。

逆に言うと、酸素の供給を絶てば、遅筋が動かなくなって速筋が稼働してくるはずです。

そこで登場するのが加圧トレーニングで、酸素は血液中の赤血球のヘモグロビンによって運ばれますから、血流を抑えて筋肉中の酸素供給状況を悪くして、速筋を稼働させるわけです。

そうすれば、高重量を持たなくても速筋が稼働します。

同じことをやるのが、スロートレーニングです。そこそこの負荷をゆっくり動かすことで、力がかかり続けますから、結局酸素供給が間に合わなくなって(=酸素が足りなくなって)、速筋が稼働してくるはずということです。

もっとも、加圧トレーニングにしろ、スロートレーニングにしろ、楽して筋肥大ができるというのは言い過ぎだと思います。

体としては、追い込まれて、このままじゃダメだと感じるからこそ筋肥大するわけですから、加圧しようが、ゆっくりやろうが、重要なのは追い込むことであって、楽して筋肥大ができる方法ではありません。筋肥大のためには、いずれにせよ、キツイと思えるだけのトレーニングが必要となります。

個人の需要に合ったトレーニング方法を探すのが重要で、重いものを持つのに抵抗感のある女性や、なにがなんでも怪我したくない人などにとって、加圧トレーニングやスロトレは有効な手段だと思います。

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もっとも、通常の筋トレは加圧やスロトレに比較して怪我しやすいというのは間違いない事実だとは思いますが、そんなに怪我しやすいわけではなく、通常のスポーツにはつきものの範囲内の話ですから、重量が上がっていくのが楽しくて、モチベーション維持につながるというのはそれを相殺して余りあるメリットだと個人的には感じています。

以下は、通常の筋トレを対象とします。

重量だけではない

高重量を扱って、速筋を稼働する必要があると上では述べてきましたが、話はそう単純ではありません。

高重量を使っても、例えば2RMで3セットと10RMで3セットでは、後者のほうが筋肥大にとって効果が高いのはよく知られています。

高重量を扱えば扱うほど、速筋が稼働するはずですが、これはなぜでしょうか。

そこで登場するのがボリュームという考え方です。物理でいう仕事量のような考え方です。

90kgで2レップを3セット行うとすると、仕事量は540kgとなりますが、70kgで10レップを3セットすると仕事量は2,100kgとなります。

ここで、50kgで20レップを3セットやると仕事量は3,000kgとなるのですが、すでに述べたように、ある程度以上高重量をもって速筋を効果的に稼働することが重要で、20RMで3セットも10RMで3セットより効率が悪いというのもある程度知られた事実ですから(脚は別かもしれませんが)、一般的な結論に従って、12RM以上の重量を前提とします。そのために、まずは重量が重要であるという点を最初に説明しました。

話はそれましたが、速筋を筋肥大させるには、重量だけでなくボリュームも重要で、それなりの仕事量が必要ということです。

ここで出てくるのが、よく言われる、死ぬ気で全力を出しても筋肉の半分以上は眠っているらしいという話です。

つまり、ある程度重いものを持っても、全ての速筋を総動員できるわけでなく筋肉全体の何割かしか動員されておらず、何レップかやっているうちに、バタバタと速筋の一部が力尽きていき、そうすると眠っていた速筋の一部が加入してくるという話になります。

その延長で、速筋を全滅させるには、1セットでは足りなくて、比較的短めのインターバルで3セットくらいやったほうが良いという結論が登場します。

ボリュームとホルモン

しかし、筋肉を刺激すれば筋肥大するというのは完全に現象論のはなしであり、詳細を考えると、刺激された筋肉を成長に向かわせるのは何かという話が登場します。

それがいわゆる成長ホルモンの話です。

石井先生の本の中では、簡潔ですが、成長ホルモンに関する最新の研究の話が登場します。

結論としては、成長ホルモンと筋肥大はどうやら関係ないという最新の知見です。

成長ホルモンは脳から分泌されますが、脳から分泌されるホルモンが筋肥大に関係あるなら、右手だけ鍛えても左手も筋肥大が起こるはずだという、個人的にはしっくりこない反証が紹介されています。

鍛えた部分でホルモンの吸収が高まるといった話はないのかなと思ってしまうのですが、大先生が言うのですから、この反証法の是非は横に置きます。

結論から言うと、筋肥大に関係あるのは、精巣だけでなく筋肉組織中でも分泌される男性ホルモンや筋肉組織で分泌されるIGF-1というホルモンのような物質が筋肥大の重要な要素であるというのが最新の見解のようです。

つまり、どうやら筋肉を成長させる鍵物質が、筋肉自体から分泌されているらしいということです。

ただ、ここがややこしいのですが、そういった男性ホルモンやIGF-1という物質が分泌される状況では、成長ホルモンも分泌されるらしく(かなり予測に近い)、成長ホルモンが直接的に筋肥大にかかわっていないとしても、成長ホルモンが分泌されるようなトレーニングが筋肥大に効果があるのは間違いないようです。

つまり、成長ホルモンのレベルなどを計測していた、過去の実験は無駄ではないということでしょう。

まず、この事実の整理をするあたり、学者は大変だなと思いますが、そんな同情はさておき、成長ホルモンを指標としてトレーニング効果を語る過去の研究がすべて無駄になるわけではないというわけです。

そして、ボリュームが成長ホルモンの分泌に重要で、10RM3セットの方が、1RM1セットよりも成長ホルモンの分泌が高くなるといった研究がたくさんあるそうです。

つまり、高重量で速筋を刺激する必要がありますが、刺激された速筋を肥大させる要因たるホルモンの分泌にとっては、ボリュームも重要ということです。

炭水化物の影響

この話は、石井先生の本ではなく、私の頭の中の理論です。

筋肥大にとって炭水化物が重要な役割を果たすという話です。

筋トレで筋肉を刺激して、筋肉の材料たるタンパク質を供給すれば筋肥大する。そして、炭水化物は筋肉を動かすエネルギーに過ぎないのだから、筋肥大には関係ない。

こういうと非常にシンプルで座りは良いです。

しかし、現実には、ボディビルダー等で、たんぱく質を十分に摂取さえしていれば炭水化物を取らなくても筋肥大するなんて言っている人はいませんし、むしろ、体を大きくしたければ、体重の4倍から6倍の炭水化物を毎日摂取しろと言っています。

これは、筋トレ後に炭水化物摂取を勧める話とは全く別の話です。筋トレしてから次に筋トレするまでの48時間から72時間の間(一般論として)体をどういう状況に置くかという話です。
また、糖質制限派の先生方も、たんぱく質をしっかりとっていれば糖質制限で筋肉が減っていくことはないと主張しているものの、筋肥大の話をしている先生はいません(私の知る限り)。

結局、ここら辺の仕組みはよくわかっていないながら、炭水化物が筋肥大に関与する仕組みが絶対にあると私は勝手に考えています。

そのせいで、上記の石井先生の言う成長ホルモンの話は私には合点でした。

つまり、筋肥大に影響するのは脳から分泌される成長ホルモンなのではなく、筋肉組織自体から出る物質が重要なのであれば、その分泌に、筋グリコーゲンレベルが影響している可能性は大いにあると感じるからです。

炭水化物を十分に摂取して筋グリコーゲンレベルと高く保つことが、成長因子の分泌に必要なんだと私は思います。

まとめ

なるべく細かい話にこだわらずに一気通貫になるようにしましたが、筋肥大の必要条件をさらにまとめると以下のようになります。

まず、肥大するのは速筋なのだから速筋を刺激しなくてはならないのですが、体はなるべくエネルギー効率の高い遅筋を使おうとするので、速筋が稼働するだけの高重量を扱うか、スロトレや加圧トレのように、速筋が稼働せざるを得ない筋肉環境を作り出す必要がある。

次に、では、とにかく重いものを持てばよいのかと言えばそうではなく、ボリュームも重要であることが分かっている。そして、その理由としては、ボリュームが、筋肥大を導くホルモンの分泌に影響するからと考えられている。

経験則として、重量とボリュームのバランスとして、10RM×3セットは悪くないと思われる。

(これは完全に個人的予測ですが)筋肥大に必要なホルモンは脳から分泌される成長ホルモンではなく、筋肉組織自体から分泌される物質であることが示唆されている。そうだとすると筋肉中に存在するグリコーゲン量が影響している可能性があり、多くの経験者が主張するように、十分な炭水化物の摂取が筋肥大には重要だと考えられる。

終わりに

今回は、筋肥大の必要条件を再整理してみました。

今更何でこんな記事を書いたかというと、セット間インターバルの話が筋肥大の仕組み理解に大きく絡んでくるからです。

上記は一本道のように書きましたが、どれが一番重要なのかという話をすると途端に経験者たちの意見は割れます。

次回、どこを重要視するとどういう結論になるのかという点を、いろんな本を参考に検討してみたいと思います。

プライベート空間でダイエット&ボディメイク
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