はじめに
初心者は筋トレをすると必ず体は大きくなります。体が大きくならないのであれば間違いなく何かが間違っています。
時々、筋トレは効果が出るまで3か月かかるという言う人がいますが、初めて3か月の間に体が大きくなっていく実感がないというのであれば、絶対に何かが間違っています。
最初の3か月というのは、体ってこんなに変わるのかというくらい変わります。
今回は、筋トレ初心者が、体が全然大きくならないと思ったときに、見直すべき順番にしたがって、重要なポイントを解説します。
なお、体を大きくするための食事管理を全般的に見直したい場合は下記関連記事を参照してください。
トータルカロリーは十分か
まず、自分が摂取しているトータルカロリーを見直しましょう。これが一番大事です。
また、そもそも食事管理をしていないというのであれば、体を大きくするのはあきらめましょう。食事管理をしないのであればいくら筋トレをしても無駄です。
摂取カロリー>消費カロリーになっていなければ体は大きくなりません。
もちろん、体重が増えたとしてもそれがほとんど脂肪なのであれば、良くない体重増加です。しかし、体重が増加するだけのカロリーバランスになっていないのであれば、どれだけトレーニングしても筋肉は増えませんし体は大きくなりません。
筋肉の増加量が少ない場合にどうするのかというのは、体重増加が先にあっての話です。体重が増加していないのであれば、トレーニングは一切関係がありません。100%食事の問題です。
また、プロテインをたくさん飲んでどれだけたんぱく質を摂取しても、もし体重増加が起きていないのであれば、エネルギーバランスがギリギリということですから、飲んだプロテインの多くは筋肉ではなく肝臓に送られてエネルギーにされていることを意味します。
タンパク質が筋肉に送られる状況を作るためにも、十分なカロリーを摂取して、体に十分にエネルギーがある状態を維持しておく必要があります。
しかし、この摂取カロリーの設定は難関です。一人一人の基礎代謝や生活パターンは異なり、体重、性別、年齢などの組み合わせから数式を使って導き出せるものではないからです。
試行錯誤しながらも毎月0.5kgから1kg程度体重が増加するトータルカロリーを見つける必要があります。それ以上の増加は間違いなく脂肪しか増えていません(初心者の最初の3か月くらいは例外)。
スタート地点としては下記関連記事の方法で算定した消費カロリーに300kcalほど足した数字(さらに簡易化すると体重の35倍くらい)が参考になると思います。
タンパク質摂取は十分か
摂取しているたんぱく質量は足りているのか調べる必要があります。
時々、自分は初心者だからと言って、体重の1倍(g/kg)程度しかたんぱく質を取らない人がいますがそれは良くありません。せっかく頑張ってトレーニングしているのですから、必要な量を摂取する必要があります。
下記関連記事に書きましたが、体重の2倍(g/kg)は最低ラインです。3倍取って全然かまいません(副作用といった情報が心配な人はこの記事参照)。
また、体重の何倍といった絶対量にだけ注目するのではなく、トータル摂取カロリーの30%から40%をたんぱく質で摂取しているのか見直す必要があります。ガリガリのハードゲイナーでかなり食べないと体が大きくならない人は、それに伴ってたんぱく質摂取量を増やす必要があります。体重の何倍という指標が役に立たない可能性があります。
体を大きくしたいなら、食べまくれというのは本当ですが、脂肪をいくら食べても脂肪にしかなりません。筋肉を増やすために筋トレをしているのですから、筋肉の材料となるたんぱく質は必要十分な量を取る必要があります。
トレーニングサイクルは正しいか
自分のやっている筋トレが、体を大きくするという目的からみて正しいのか否かを見直すためには、種目や重量ではなく、最初にトレーニングサイクルを見直す必要があります。
時々、初心者で、平日毎日トレーニングして土日を休むという人がいます。これは、はっきり言って良くないやり方です。なにも、初心者に分割法が良くない、分割しすぎが良くないと言いたいわけではありません。
そうではなくて、初心者で5オン2オフで回るようなトレーニングは間違いなく強度が低いです。体を大きくしたいのであれば、強度の高いトレーニングでガツンと体を追い込み、その後じっくり休むのが一番良い方法です。
体は休んでいる時に大きくなるのですから、体を大きくするためにはできる限り休むトレーニングサイクルを組む必要があります。そして、そのためには、体の成長回復機能がMAXになるだけの強度の高いトレーニングで「筋肉が足りない、増やさないと」という強烈な信号を脳に送る必要があります。
5日も連続できるトレーニングメニューは間違いなく強度が低いです。トレーニングを5日続けて、しかも2日休んだだけで疲れが取れるようであれば、間違いなく体の成長を促すようなトレーニングになっていません。
1回のトレーニングで全身を鍛える典型的な初心者用のメニューがあったとします。種目は、スクワット、ベンチプレス、バックプレス、アップライトロー、ベントオーバー、バーベルカール、トライセップスエクステンションライイング、アブベンチで、これを1分インターバルの10回3セット法で行うとします。
もし、分割した結果、一回のトレーニングがこのメニューより緩いメニューになっているのであれば、その分割法は間違っていると思ったほうが良いでしょう。分割法は1回あたりの強度を緩めるための技術ではありません(もちろん、脚をやる日とやらない日ではきつさは大きく違いますが)。
体を大きくしたい初心者のトレーニングは、1週間にやっても最大4日だと思って問題ないと思います。それどころか週3回で十分で、週4回だと疲れが抜けないから3回にするといったくらいの強度のメニューが一番良いかもしれません。
いずれにせよ、強度の高いトレーニングで刺激を与えて、その後しっかり休むサイクルになっているか見直す必要があります。
背中と脚をしっかり鍛えているか
これは自宅でダンベルトレーニングをしている人に言えることです。
ダンベルだけでも、胸、肩、腕は十分に鍛えることができますが、背中と脚を鍛えるのは基本的に厳しいです。
胸、肩、腕を鍛えるだけでも、周りから少し肉付いたねと言われることはあると思います。しかし、背中と脚を鍛えないと、服の上から見て体全体が大きくなったと認識されることはないです。まさに、脚と背中こそが体全体を支える土台だからです。
自宅で筋トレを頑張っている人は、背中と脚をどう鍛えるのかをしっかり考える必要があります。下記関連記事に少し詳しく書いたので参考にしてください。
基本種目を中心にしているか
エクササイズとして、バーベルを使った基本複合種目中心の組み立てにしている否かをチェックしましょう。
マイナーなアイソレート種目を勧めている雑誌を信用せずに基本複合種目を中心にしましょう。
時々、初心者で、上腕筋等のエクササイズで、長頭が短頭がとあれこれ言って変な格好でケーブルエクササイズを熱心にやりこんでいる人がいますが、そうではなくて、基本種目で1kgでも重い重量を持ち上げるよう努力してみましょう。
体が大きくなるということは体全体が力強くなるということです。トレーニングする時は、見た目のことは忘れて、基本種目のパフォーマンスを上げることに専念しましょう。
力強い体を目指せば、大きくてカッコいい体は後からついてきます。そして力強い体を作るのは、全身の筋肉を連動させる基本複合種目です。
マシンやダンベルを使っている人は、そのエクササイズの代わりにやるべきバーベル基本種目があるのではないか見直してみましょう。ダンベルやマシンを使うと特定部位に効くのなんて当たり前です。
問題は、特定部位の集中攻撃と大筋群を連動させて自分の持っている力を全力でバーベルにぶつける動きのどちらが、体を大きくするのに有効かという点です。
鉄が鉄を鍛える
As iron sharpens iron, so one person sharpens another.
-Proverbs 27:17
(個人的訳)
鉄が鉄を鍛えるように、人が人を鍛える。
これは聖書からの引用です。
ネットや書籍で情報収集しながら一人で筋トレを頑張っている人も多いかと思います。それは悪いことではありません。何も、トレーニングパートナーと組んで毎回トレーニングする必要などありません。
しかし、人から学ぶことは非常に多いです。他人のトレーニングを見て気づくことはたくさんありますし、友人との何気ない会話が、間違いを正し、やる気を維持する重要なきっかけになります。
ジムで、カッコいいと思う体をしている人がいたら怪しまれない程度にどんなトレーニングをしているのかしっかり観察しましょう。また、身近に筋トレ好きの人がいたら積極的に情報交換してみましょう。
お手本になる人や有効なアドバイスをしてくれる人がきっと周りにいるはずです。
終わりに
ウェイトトレーニングをしたことのない初心者が体を大きくするのは簡単です。したがって、体が大きくならないというのは、かなり基本的なところでつまづいています。
1つ目は食事管理です。食事管理をしない筋トレなどあり得ませんから、面倒ですがしっかりとしなくてはなりません。2日に1度ジムに行って、1時間のトレーニングを頑張るのなんて誰でもできます。
勝負は、トレーニングが終わってから、次にジムに行くまでの47時間から71時間をどう過ごすかです。非常にメンタルドリブンなところであり、ここをどれだけ頑張れるかで結果は目に見えて変わります。
2つ目のトレーニング自体の問題というのは実は厄介です。というのも、初心者向けに有効なメニューというのはみんな同じことを言っており、ネットのどこにでもあります。微妙な差はありますが、そのせいで初心者の体が変わらないなんてことはありません。
しかし、みんながやっている王道的なものに追従するのがなんとなく嫌で、オリジナルでいたいという人は多く、そういう人はどこからか変な情報を見つけてきて、マイナーエクササイズの詰まった、自分だけのオリジナルメニューを組みます。
どうしてもジムに行かず自宅で筋トレしたいといった人にも言えることですが、あえて王道的なトレーニングを選択しない場合、目的が“体を大きくすること”なのか、“ボディビルの長い歴史と研究の蓄積に挑戦する自分流で体を大きくするという自己実現”なのかははっきりと意識する必要があります。
もちろん個人の自由であり、批判する気は毛頭ありません。最終的に自分に合ったメニューを見つける必要があるのも事実です。