今回のテーマ
今回のテーマは、初心者が筋トレを行う場合にはバーベルが良いかダンベルが良いかです。
この議論はフリーウェイトかマシンかという議論と似ており、いろいろやったほうが良いとか、自分に合ったものが一番という意見はその通りです。それには反論の余地がありません。
特に、ダンベルフライ、サイドレイズなどダンベルでしかできない基本エクササイズも多いですから、本来的にどちらが優れているかというのはナンセンスな議論です。
もっとも、“どっちも大事である”といった結論では初心者に役に立たないかもしれないので、その違いを強調してみたいと思います。
ダンベルとバーベルの違い
重い2つのダンベルを片手ずつ持って頭の上に持ち上げる動作を想像してみて下さい。おそらく両手(特に利き手じゃない方)がふらふらしてしまうはずです。これがバーベルだと、両手が一本の棒でつながるために、利き手が弱い方の手をかばってバランスをとることが出来るため、ダンベルほどふらふらせずに済みます。
片手に5kgずつ合計10kgダンベルを持ち上げられる人は、合計の1.5倍の15kgのバーベルを持ち上げることが通常可能です。もっとも、約1.5倍とか、そういった数字を議論したいのではなく、バーベルのほうがトータルで重いものを持てるということです(慣れがあるのはもちろんです)。
さらに、ダンベルはバランスを取るのが大変なため、しばらく持っていると腕の筋肉が先にやられて、持ち上げるどころではなくなります。しかし、バーベルであれば、下半身で踏ん張り、背中と腹筋に力を入れて(いわゆる重量挙げのポーズ)、バランスをとることにそれほど労力をとられることなく、支えることが出来るため、体を一つにしてより重いものを持ち上げ、体幹全体を鍛える事が出来るのです。トータルで重い重量を扱えるということはそれだけ体幹部への刺激は大きいということです。
したがって、ダンベルをつかうかバーベルを使うかで、体幹部の使用は大きく異なり、効果は違います。顕著な例として、ミリタリープレスとダンベルショルダープレスは分類としてはともに肩のエクササイズになるのかもしれませんが、体幹部への影響はだいぶ違います。
筋トレ初心者が鍛えるべきは大筋群
ダンベルはバランスをとる必要があるからインナーマッスルに刺激を与えることが出来るといわれます。確かにその通りなのですが、初心者がまず鍛えなくてはいけないのはインナーマッスルではなく大筋群です。大筋群あってのインナーマッスルです。
どんなウェイトトレーニングも一部を除いてウェイトは腕で持ちます。ダンベルトレーニングを初心者が行うと、バランスに気がとられ、体幹に十分な刺激が行く前に腕が疲れてしまって良くないのです。初心者は無駄に腕に力を入れ過ぎてしまうというのも原因の一つですが、これは指摘されて治る問題でもありません。
初心者はまず、体幹部を鍛える種目で体全体の成長モードを作り出し、なまった体をたたき起こして代謝の活発な体にかえることが先決です。その後で、特定部位のシェイプを強調するためやエクササイズに変化をつけるために自由度の高いダンベルを使うべきなのです
女性のバーベルに対する誤解
世間には大きな誤解があり、女性にバーベルトレーニングはキツすぎる、無理だなどといわれる事があります。しかし、ダンベルは軽くてバーベルはキツイという考え自体がそもそも間違いです。
単にその方が通ったジムに置いてあるバーベルが重いだけであり(おそらく20kgのものが置いてあったと思われます)、軽いバーベルを使えばよいのです(当スタジオでは初心者用に2kgからバーベルを用意しています)。
キツイかどうかは重量で決まるのであって、バーベルだからキツイのではありません。20kgのバーベルであっても、腕立て伏せや腹筋で持ち上げようとする40kg以上ある自分の体重よりは軽いはずです。
また、女性からは、バーベルなんて使ってトレーニングしたら、筋肉がついてムキムキなってしまうという声が聞こえそうですが、下記関連記事に書いた通り、バーベルを使ったところで、ダイエット目的の女性がムキムキになることはありません。