筋肉成長の2つの鍵を理解する:動作の限界と筋肉の疲労


はじめに


今回は、筋肉成長のためにトレーニングで求められる2つの重要な要素について解説します。

これは、ロニー・コールマンがその著書HARDCOREの中で明らかにしている12個のトレーニング哲学において5番目に出てくる話で、著書全体を通じて強調しているポイントです。

前回の記事(筋トレ初心者が理解すべき重量設定の基本)で、筋肉成長のためには6RMから12RMの間が最も適しているという一般論を説明しましたが、その中でも6RMか12RMかという疑問はどうしても出てくると思います。

しかし、そこから先は、誰かが教えてくれる話ではありません。

その疑問を自己解決する参考になれば幸いです。
最適レップ数

ロニー・コールマンの言葉


まず、ロニー・コールマンの言葉を紹介します。

Just remember, when you reach failure, your workout has only begun.

(個人的訳)
覚えておくといい。限界に達したと時というのは、ワークアウトは始まったばかりである。

ここで、Failureのいい訳が見つからないので“限界”と訳します。Failureとは失敗の意味で、持ち上がらなくなったことを意味します。つまり10RMの重量を10回持ち上げて、つぶれたり、もう持ち上がらないと考えてバーベルをラックに戻した状況のことです。

海外の書籍では、筋トレの基本はLifting to failure (失敗するまで持ち上げる)、Going to failure(持ち上がらなくなるまでやる)、といった言葉で説明されることが多く、この言い回しの対応する簡潔な日本語がないことも日本で間違った筋トレが横行している原因の一つかなと思ったりします。

話はそれましたが、ロニーは限界まで持ち上げて、もう持ち上がらなくなったというポイントはトレーニングの始まりでしかないと述べています。

初心者向けの10回3セット法の説明などで、「仮に10回持ち上がってもそこでやめてはダメで、持ち上がらなくなるまでやることが重要」と強調されます。それはその通りだと思うのですが、ロニーはさらに、それはトレーニングの始まりでしかないというわけです。

これがなぜかというと以下の言葉です。

Understanding “failure” vs “fatigue” can make a huge difference in you quest for more muscle.

(個人的訳)
(動作の)限界と(筋肉の)疲弊の違いを理解しているかどうかは、筋肉をつける上で非常に大きな違いを生むことになる。

Fatigueは“疲労”の意味ですが、へとへとに疲労させるという意味で使われているので、ちょっと変ですが“疲弊”という言葉を当てます。

筋肉を成長させるには、筋肉をへとへとに疲労させることが必要ですが、もう持ち上がらないという限界に達したからといって、狙った筋肉をへとへとに疲労させたわけではないということをロニーは強調しているのです。

動作の限界と筋肉の疲労


ロニーは、筋肉を成長させるためには、限界まで持ち上げることと、筋肉をへとへとに疲労させることの両方が必要だと説明しています。

ここで、言葉をもう少し詳しく説明します。

限界とは、与えられたセット数の中でもうこれ以上1レップもできないという状況です。そして、疲弊とは、ある筋肉がもうこれ以上動かないことを意味します。

この限界(Failure)と疲弊(Fatigue)という言葉は、ともに限界(Limit)に達したという意味であり、似ていますが、限界(Failure)というのはある動作がこれ以上できないという点で機能的な限界であるのに対して、疲弊(Fatigue)というのはその筋肉がこれ以上動かいないという点で生理学な限界のことを意味します。

また、限界というのは一つのボディパートの話であるのに対して、疲弊というのは個々の筋肉の話です(これはロニーのこの説明の中での定義だと思います)。

そして、一番大事なことは、ある動作を限界までやったからといっても、複数の筋肉を連動させる一つの動きがもうこれ以上できないポイントに達しただけであって、それは、その動きに含まれる個々の筋肉が疲弊したわけではないと述べています。

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そして、この違いが判らないと、毎回のトレーニングで限界までトレーニングしても、十分に筋肉を成長できないという結果になると注意を促しています。

もちろん、ある動作を限界までやれば、各筋肉を成長させることはできるし、各筋肉をうまく組み合わせてウェイトを持ち上げる能力は高まり、結果として力強さを手に入れることはできます。

そして、これは体全体を大きくしていくうえで不可欠な要素です。

しかし、ある動作ができなくなったからといって、それにかかわる筋肉のすべてがくたくたになるまで疲弊させられているわけではありません。もし、その時点でトレーニングをやめてしまえば、成長のチャンスを逃しているということです。個々の筋肉はもう一歩先まで追い込めるからです。

ウェイトトレーニングの原則


ロニーは、現代のウェイトトレーニングの原則は、複合種目に始まり単関節種目で終わることだと説明します(特定部位によほどの筋力がない限り予備疲労法は勧めないとも別のところで言っています)。

複合関節種目を限界に達するまで行うことで、狙ったボディパートの全体的な力強さを引き出し、さらに構成する個々の筋肉の全体的な成長を引き出します。その後、単関節種目で個々の筋肉に狙いを変え、一つ一つの筋肉がしっかり成長するようにくたくたに疲労するまで追い込むのが原則的な方法と説明します。

大事なことは、限界と疲弊を勘違いしないことだとしつこいくらい強調しています。

もちろん、両方必要で、その両方を達成するには、自分が選んだエクササイズから最大限の効果を得なくてはなりません。そのためには、正しいフォームと筋繊維をすべて使い切るだけの強度でエクササイズすることが重要だというお決まりの議論になります。

もっとも、各ボディパートが限界に達してから、それを構成する個々の筋肉をくたくたに疲労させるプロセスが始まるのだから、複合関節種目でチーティング等により関係ないボディパートを使ってしまい、狙ったボディパートを正しい限界まで追い込まなければ、そのエクササイズは無意味に等しいと述べています。正しいフォームというのは単関節種目よりも複合関節種目でこそ必要だと強調しています。

まとめ


ある基本種目の動作を限界までやっても、その後個々の筋肉をくたくたに疲労させていなければ筋肉成長のための大きなチャンスを逃していることになる。

基本となる複合関節種目で限界まで追い込んだら、続けて単関節種目で個々の筋肉をくたくたに疲労させることが重要。

動作の限界と筋肉の疲労の違いをしっかり認識することが重要。

終わりに


理屈のようで感覚論なので、すこし分かりにくいですが、言いたいことは伝わります。

複合種目で限界に達するまで追い込んで、体全体の力強さを高めるだけでなく、そのあとに単関節種目で個々の筋肉を徹底的に追い込むことが必要。つまり、単関節種目の目的は限界まで達成することではなく、くたくたに疲労させることですから、自分なりに最大のパンプを得られるようなトレーニングを見つける必要があるということでしょう。

もともとパワーリフター出身で、高重量を使うロニー・コールマンらしい意見だと思います。他のボディビルダーが、自分たちはウェイトリフターではないから、重量にこだわるのではなく、筋肉に効かせることを重視すべきと口をそろえて言うのに対して、とにかく基本種目では高重量に挑戦しろというロニー・コールマンだからこそ、単関節種目では、効かせることに集中しろといっているのだと思います。

ロニー自身も、説明の最後に、限界と疲労、それを実現するために自分にとって最適なのが10から15レップのレップレンジであると述べています。

なお、非常に参考になるので、Big Hideこと山岸秀匡プロの動画を載せておきます。全編にわたって必見ですが、特に13分40秒からの話は参考になります。

参考


Ronnie Coleman HARDCORE

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Hardcore: Ronnie Coleman’s Complete Guide to Weight Training

プライベート空間でダイエット&ボディメイク
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