初心者が理解すべき筋トレダイエットの限界


はじめに


今回は筋トレダイエットの限界について深入りしてみます。少しややこしい話です。

今回の話は注意して読んでください。

分かりやすくするために、ゼロか百かの話であるかのような書き方をしています。しかし、実際にはそこまで極端なわけではなく、程度の問題です。

また、なるべくわかりやすい説明を心がけますが、どうしても、「AはBである、なぜならば人間の体はそうできているから」といった説明になっているところがあります。

もちろん、人間の体で起きていることは全て化学反応ですから、そこには必然の法則があるのかもしれません。しかし、そうはいっても、人間の体の仕組みは、無数にある遺伝子の組み合わせのうち、特定の機能が論理的に発展しているわけではなく、進化という名の競争を生き抜いてきた個体が生き残っているだけです。

したがって、「人間の体はそうなっているから」という理由しか説明できない点もあります。

なぜ?を繰り返してもすべてに答えられるわけではなく、どこかで、「そういう仕組みになっているから」となります。

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伝えたいこと


本記事で伝えたいことは、「筋トレダイエットにおいて、初心者は全員同じメニューをすべきである」という最重要ポイントとその理由です。

“初心者はあれこれ考えずに基本種目中心のメニューにすべき。”

これは、初心者なんだから調子に乗って応用種目をやるのではなく、基本を大事にするべきという精神論を強調しているのではありません。

初心者が基本種目中心のメニューをすべきなのは、その背後に筋トレの限界があるのです。

この点を以下説明したいと思います。

筋トレダイエットの現状


ある女性がいたとします。その女性は筋トレ初心者です。筋トレがダイエットに効果的という情報を聞いて筋トレダイエットジムに来ました。そして、無料カウンセリングでトレーナーに以下のようなリクエストをしました。

「一日中机に座りっぱなしの仕事をしていいますので、腰痛と言わないまでも、腰のハリが最近は気になっています。また、年々猫背になってきているような気がしていて、実際に肩こりは最近ひどくなっています。なので、腰周りを強化して腰痛防止になるようなエクササイズと肩周りが柔らかくなるようなエクササイズを入れてください。また、昔陸上をやっていたこともあり、脚に筋肉が付きやすいので脚のトレーニングはしたくないです。それと、二の腕の脂肪が気になっていて、人から見られる部分でもあるので腕は集中的にトレーニングしたいと思います。」

結論から言うと、この話を聞いて、リクエストを反映させないでメニューを作るトレーナーが正しいトレーナーです。

しつこいですが、初心者は全員同じメニューをやるのが正解だからです。

もっとも、ビジネス上そうはいかないから話がおかしくなります。

誰もが共通メニューではなく、自分専用のメニューを作ってほしいと思うものだからです。

また、肩こりに効く筋トレ、腰痛に効く筋トレといったおかしな情報もたくさんありますから、筋トレ初心者の中にはエクササイズを治療行為かなにかのように思っている人も多く、自分のニーズに合わせたエクササイズを集めて、自分専用メニューを組むのが効果的と無意識のうちに信じているのです。

そういう人に、「筋トレダイエットで初心者がやるべきメニューは全員同じです」と真実を説明しても、いい加減なトレーナーとしか映りません。

そういった意味で、ライザップ等のやり方は面白いと思います。

数十万の結構高額な料金を払わせる代わりに、トレーナーの指導を守るという条件付きの返金保証を付けて退路を断ちます。そして、何をやらせるかというと、糖質制限はさておき、トレーニングに関しては、ラグビー部や野球部に入部した高校一年生がウェイトトレーニングを始める時と同じメニューと言っても過言でない、何の変哲もない超オーソドックスなメニューを、男女区別なく有無を言わさずやらせるわけです。

そうでもしないと、女性は去ってしまうという現実があります。

現実的には、女性相手に、「締まったスリムな体を作りたい女性とムキムキの体を目指す男性で筋トレメニューは同じです」という真実を説得している時間はありません。女性は、「そんな馬鹿な、ムキムキになんてなりたくない」と去ってしまいます。

そして、“女性専用の引締め目的の筋トレメニュー”を掲げるジムにいってしまいます。それでも、まともな筋トレをすると7,8kg位は簡単に痩せるという事実を知りませんから、変なエクササイズをして2、3㎏痩せて満足して、今のジムにしてよかったとなります。

こういった現実を受けて、「初心者は全員同じメニューをするべき」という真実が影をひそめます。そして、目的別の筋トレメニューのような情報が氾濫して、効果的な筋トレ自体が姿を消してしまいます。

こういう状況になるのは、そもそも多くの人が筋トレの限界を理解していないからです。

体というシステム


筋トレ初心者は、「スクワットにはどういう効果がありますか」、「女性にとってデッドリフトはどういう効果がありますか」という質問をよくします。

筋トレに詳しくない人が、こういった質問をすることや、そこをわかりやすく説明してこそ専門家であると考えてしまうのは自然です。当然かもしれません。

また、「デッドリフトは下半身及び背中の大筋群及びそれを支える無数のインナーマッスルを効果的に刺激するエクササイズですから、下半身の引き締めに効果があるだけでなく、座りっぱなしの生活で弱った背中の特に下背部を効果的に刺激し、背骨周りの細かい筋肉を活性化させて背骨のゆがみを直すことで腰痛防止に役立ちます。さらに、背骨周りのインナーマッスルを鍛えると姿勢が良くなりますから、全体的なプロポーションが良くなります」といった説明をするトレーナーが筋トレに詳しい人であるかのような錯覚を持ってしまうのはわかります。

しかし、上記の説明のように、体を分解してエクサイサイズを個別的に考えることが筋トレに関する誤解の第一歩です。

なぜこれが良くないかというと、体全体のことを考えないことにつながるからです。

腕を鍛えると腕が太くなる。脚を鍛えると脚が太くなる。何も間違っていません。

しかし、体の各パーツが、それだけで個別的に成長したりする部品のようなものであり、それが集まったものが体であると考えるのであれば、それは大間違いです。

腕が太くなるかどうかは、腕と共に脚や背中を鍛えるかどうかにかかっています。腕だけをどれだけ熱心に鍛えても腕に変化は出ません。

体という一つのシステムが成長モードになってこそ部分が発達するのであり、体全体を成長モードにもっていくには脚や背中といった大筋群に刺激を与えなければスイッチがオンにならないからです。

もう少し細かく見ていきます。

部分痩せはできない


まず、筋トレをしても部分痩せはできません。これは関連記事に詳しく書いたので、簡単に結論のみ書きます。

関連記事
部分痩せとグルカゴンの話:筋トレダイエットの限界

腹筋を一生懸命したとします。疲れてきて血糖値が下がると、予備エネルギーたる脂肪を燃やそうとします。具体的には、すい臓からグルカゴンというホルモンが出されます。しかし、グルカゴンは血中に放出されるのであり、それを腹筋に届ける特急レーンはありません。
グルカゴン循環
誰にでも、脂肪が付きやすい部位があり、裏を返せば脂肪がつきにくい部位があります。つまり、グルカゴンがどこに吸収されやすいかは遺伝的に決まっています。血液に乗って体中を巡回する中で、吸収されやすい部位に吸収され、そこの脂肪が燃えるのであって、筋トレをしている部位に流れ込む仕組みは一切ありません。

お腹の脂肪を落とすための(腹筋を割るための)腹筋エクササイズや二の腕を引き締めるためのダンベルエクササイズというのはすべてでたらめです。これは、一定以上筋トレをしている人であれば全員知っている常識です。

部分的に鍛えることはできるのか


女性の方は意外に知らないかもしれませんが、ダイエットの逆で、ガリガリから体を大きくしたい男性が犯すミスで一番多いのは部分痩せの逆です。特定の部位を集中的に鍛えようとするのです。

つまり、腕を太くしようとダンベルを持って必死にトレーニングするのですが腕は全然太くなりません。

腕を1センチ太くしたかったら体重を2㎏増やすしかない(数字は諸説あり)という意見は本当で、特定部位の筋肉だけ成長させるのは至難の業です。体全体の筋肉の1割にも満たない腕の筋肉をどれだけハードに鍛えても体全体としては成長モードにならないからです。そのスイッチが入らない状況で腕だけ太くなったりはしません。

したがって、腕を太くするのに一番効果的なエクササイズはスクワットだと言われたりもします。もちろん、スクワットに腕を太くする効果はありませんが、鍛える部分が大きいため、体全体に対する刺激が大きく、体の成長スイッチが入りやすいので、体全体を大きくするのに一番効果的なエクササイズです。

スクワットだけで体は大きくなりますが、そこにさらに腕を鍛えると腕が太くなります。

つまり、腕を太くするには体全体を大きくするしかないということです。

逆にいうと、“腕の細い人”が“腕の太い人”になることはほぼ不可能です。体全体を大きくして腕周りを1㎝太くすることはできますが、同じ体重でみれば“腕の細い人”のままです。同じ体格の“腕の太い人”になることはできません。

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もちろん、特定部位を集中的に鍛えて筋肉をつけることはできますし、ボディビルダーは全員そうやって自分の弱点をつぶしています。しかし、前提にあるのは全身をくまなく鍛えて、体全体を成長モードにしている点です。全身を鍛えている中で部位ごとに強弱をつけています。そして、なにより驚異的なトレーニングを長期間に渡ってしています。

それでも、個人の遺伝的素質を乗り越えるのは相当ハードルが高いです。腕の細い人が腕の太い人になったり、肩の小さな人が肩の大きな人になるのは、ほぼ無理です。

つまり、特定部位のトレーニングを熱心にやってもそこの部位にだけ効果が表れるといったことは通常人レベルの筋トレでは起きません。

部分痩せと同じで、体全体という一つのシステムの延長に部分があり、特定部位がそこから抜け出して独自に成長したりすることはありません。

筋トレにできること


雑多なことをいろいろと言ってきましたが、ここで一気に結論に入ります。では、一体筋トレにはなにができるのでしょうか。

筋トレダイエットのサンプルを以下に示します。

筋トレダイエット成功例

この例を見てどう思うかは個人次第かもしれませんが、体重を10kg減少させるような状況で筋肉の減少量を2㎏に抑えるのはそれなりの筋トレと食事管理が求められます。ダイエットとしては成功だと思います。

時々、筋トレをすればダイエット中でも筋肉が増えると勘違いしている人がいますが、そんなことが出来ないのはライザップ等で公開されているBefore Afterの除脂肪体重を比較してみれば一目瞭然です。筋肉を増やしたいからではなく、筋肉の減少を最小限に抑えるために筋トレをするのです。

上記のような、10kgの体重減少を一番効果的にやる方法は筋トレと有酸素運動と食事管理の合わせ技です。筋トレをするのとしないのではカロリー制限下での代謝スピードが大きく異なりますから、体重減少スピードを加速するために筋トレは有効です。

さらに、体重減少と共に減っていくのが避けられない筋肉減少を最小限に抑えるためには筋トレをするしかありません。

時々有酸素運動をして筋肉を使えば筋肉は減らないという人がいますがでたらめです。カロリー不足で体を分解してエネルギーを補っている状況で、都合よく脂肪だけ燃えて筋肉が燃えないといった夢のような世界はありません。スタート地点が肥満であれば話は別ですが、筋トレをしない限り筋肉はガンガン減っていきます。

これが、ダイエッターが筋トレをする意味であり、筋トレダイエットのメリットです。

問題は出来上がった体です。結論は以下の絵です。

遺伝的素質が決める

どこに脂肪がつくか、どこに筋肉がつくかは基本的に個人の遺伝的素質によって決まります。これは、同じスポーツをしているトップアスリートたちが、同じ筋肉を同じように使うはずなのに全然違う体をしていることからも明らかです。

もちろん、筋トレのメニューを工夫することで出来上がりの体を多少は変えることはできます。

しかし、上記の体脂肪-8kgをどこから減らすかを変えることはできません。また、筋肉が結果として2㎏減少していますが、どこの筋肉を維持してどこの筋肉を減少させるかを変えることはできません。

筋トレダイエットの結果できる体は自分の遺伝的素質の発現そのものなのです。

スクワットをしないとどうなるか


ここで、脚が太くなるのが嫌だと言って脚の筋トレをしないと、筋肉減少は2㎏では済まなくなり例えば4kg減ってしまうことになります。脚(下半身)には体全体の筋肉の約半分がありますから、そこを刺激しないと体全体の成長スイッチも50%しかオンにならず、筋トレの効果全体が半減されます。

そして、その追加の2㎏は脚の筋肉ではありません。もちろん脚の影響はありますが、体全体の筋肉が追加で2㎏減ると思って良いでしょう。なお、摂取カロリーを同じとした場合、筋肉の減少量が2㎏増えるということは、脂肪の減少量が2㎏減るということです(最終体重は同じ)。

スクワットをしないと

つまり、スクワットをやらないことによって、脚に何らかの影響が出るのではなく(多少はもちろんあります)、下半身を鍛えないことにより、体脂肪率を下げるという筋トレの効果が半減して終わってしまうということです。実際には半分以下で、最終体重52kg(脂肪16kg+筋肉36kg)になるくらいの影響があると思ったほうが良いでしょう。そして、脂肪16kgと筋肉36kgがどこにつくかも遺伝的素質で決まります。

筋トレダイエットの目的は、脂肪燃焼のためにできる限り代謝を高く保つことと、できる限り筋肉を維持することです。

そのためにしなくてはいけないことは、体全体の筋肉を鍛えることです。そして、特定の部位を鍛えないという選択は、筋トレの全体的な効果を下げて終わります。また、体全体を鍛えた後に追加的に特定部位を集中することは意味がありますが、それは筋肉量を増やす時の話で、筋肉減少を最小限にしようとするダイエット目的の場合に特に意味はありません。

ダイエット用の筋トレメニュー


つまり、筋トレダイエットのメニューとは体全体を万遍なく鍛えるメニューです。そして、特定部位を集中する必要もそれほどありませんから、各部位ごとに一番有効なエクササイズを選択すればそれがベストです。

部位ごとに何が一番有効かは簡単です。代謝の活性化という観点からも、筋肉減少の抑制という観点からも、違いはなく、各部位ごとに一番重い重量を扱える種目です。

重い重量を扱えば扱うほど体への刺激は強いですから、筋肉成長(代謝の加速)に効果的です。

カッコいい体とは


筋トレダイエットにおけるカッコいい体とは体脂肪率の低い体です。そう考える限り、筋トレダイエットはカッコいい体を作る上で、非常に効果的です。

しかし、その結果出来上がる体は個人の遺伝的素質全開の体です。全体的に体脂肪を減らしても脂肪が付きやすいところには多めにつきますし、体脂肪率を下げて筋肉を強調させても、発達した部位と弱いところははっきりします。

また、骨格そのものはどうしようもなく、腕が太い、脚が太いといった点もどうしようもありません。

ためしにボディビル大会の写真を見てみると面白いと思います。皆さんムキムキですが、比べてみると、足の細い人、腕の細い人、肩の小さな人等、色々な人がいます。何も彼らは、特定部位のトレーニングをさぼっているわけではないのです。

腕を鍛えると腕が太くなる、足を鍛えると足が太くなる。そんな簡単な話ではありません。

初心者が全身を鍛えて体脂肪を燃やすことや筋肉を全体的につけることは簡単です。しかし、”自分の体のカタチ”を変えることはボディビルダークラスでも相当困難だということです。

この筋トレの限界を受け入れないと、筋トレダイエットはおかしくなります。

筋トレダイエットのついでに自分の遺伝的素質を無視して理想の体にしようと安易な工夫をするとそれは筋トレ自体の効率性を下げて終わるという結果になります。

個人の遺伝的素質を乗り越えるのは相当ハードで長期間にわたるトレーニングが必要ですし、しかも、その乗り越え方は全身を鍛えながらも強弱をつけることで、特定部位に筋肉をつけるというまさにボディビルの方法ですから、必然的にムキムキがカッコいいという価値観がここから先は登場します。筋トレにより、特定部位の脂肪を燃やす、特定部位を締めてスリムにするという方向で遺伝的素質を乗り越えることはできません。

体全体の筋肉を万遍なく鍛えて、体全体を成長モードにもっていくとともに、適切な食事管理も併せて体全体の脂肪を燃やして、自分なりの体脂肪率の低い体を目指すことが、筋トレの限界を踏まえた正しいアプローチであって、そこに余計な工夫をすればするほど、効果は下がります。

これが筋トレの限界です。

終わりに


なんだかまとまりのない文章になってしまったのですが、エッセンスだけでも伝われば幸いです。

初心者は全員同じメニューをすべきです。特定部位のトレーニングをしないという選択肢は全体のトレーニングの効果を下げるだけですし、また、ダイエット目的の場合に特定部位への集中はほとんど意味がありません。

もちろん、実際には多少は変えるところはあるのですが・・・きりがなくなるのでここで終わりにします。

筋トレというものがどういうものか知りたい人は是非無料体験レッスンにお越しください。

プライベート空間でダイエット&ボディメイク
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