典型的なダイエット失敗と良くある原因分析を検討する


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はじめに


今回は、典型的なダイエット失敗例を想定し、その原因を分析するとともに、良くある原因分析自体を検討してみたいと思います。

想定するダイエット失敗例は、痩せなかったという事例ではなく、痩せたけどもすぐにリバウンドして前よりも太ってしまうという例です。

リバウンドしてダイエット前よりも悪い状態になったということは、ダイエットによりリバウンドしやすい体になってしまったということですから、間違ったダイエット方法を取ってしまったということです。

そこで、リバウンドしにくい体になるためにはどこを変えればよかったのかという観点から修正点を考えてみたいと思います。

ダイエット失敗会話

良くある失敗例


想定例としては、数字の計算を簡単にするために、比較的体格の良い男性にします。それ以外にあまり意味はありません。また、数字はシンプルな数字にするため、特に現実的な数字か否かといったことは考えていません。

ダイエット前

体重80kg
体脂肪18kg
除脂肪体重62kg
体脂肪率22.5%

男性の体脂肪率22.5%はそこまで悪い数字ではありませんが、10%台に比べるとお腹周りの脂肪がかなり気になってくる数字でもあります。

そこでこの男性はダイエットすることを決心し、結論としては食事制限をして、1日の摂取カロリーを1500kcalにするという結構過激な食事制限をしました。

しかし、そのせいもあって、体重減少のスピードは徐々に落ちていきましたが特に停滞期に入ることもなく、6週間後には10kgの減量に成功し、以下のようになりました。

ダイエット後

体重70kg
体脂肪13kg
除脂肪体重57kg
体脂肪率18.6%

6週間で10kg減少という点だけ見るとダイエットは成功のようですが、体組成に着目すれば、ダイエット失敗であることは明らかです。

この男性は、10kgの体重減少のうち、その半分の5kgも除脂肪体重を減少させています。そのせいで体の代謝速度はダイエット開始前に比べて相当低下していると思われます。

しかし、この男性は、10kgの減量に成功し体脂肪率も10%台に戻ったので、忙しいサラリーマンとしては十分と満足し、ダイエットをやめて食生活を元に戻しました。

除脂肪体重を5kgも減らしており、以前の体よりも間違いなく1日のカロリー消費は減っていますから、食生活を元に戻したらリバウンドも早く、ダイエット期間と同じ6週間したら、元の80kgに戻ってしまいました。

リバウンド後

体重80kg
体脂肪20kg
除脂肪体重60kg
体脂肪率25%

食事を元に戻しただけのつもりですが、カロリーバランス的には摂取カロリー>消費カロリーですから、体重は元に戻りました。

ここで重要なポイントとして、食べ過ぎで筋肉が増えるという仕組みはないことがあります。もちろん脂肪が増えると、その脂肪を動かし、支えるために筋肉量も増えますが、それ以上に筋肉が増えたりはしません。12週間前には筋肉があったからといってその水準まで勝手に筋肉が増えたりはしません。

したがって、10kgリバウンドの内訳は7kg脂肪で、3kgが除脂肪体重です。

同じ80kgですが、ダイエット前と比べて体組成は悪くなりました。脂肪1kgと筋肉1kgでは密度が全然違いますから、同じ1kgでも脂肪の体積は筋肉の訳2倍あります(その分ぶよぶよして弛んでいます)。

その結果、見た目の体型はダイエット前と比べてずいぶん太った感じになってしまいました。

以下この良くあるダイエット失敗例について、良くある原因分析を分析したいと思います。

急速な体重減少が原因


これは半分正解、半分不正解です。

「急激な体重減少は急激なリバウンドを招く」

この意見は少し雰囲気的ですが結論としては正解です。

急激な体重減少というのは、科学的に考えれば一日当たりのカロリーバランスにおいて大幅なカロリー不足(消費カロリーを大幅に下回る摂取カロリー)を実現したということです。

それは、いわゆるサバイバルモード(飢餓モード)のスイッチをオンにしますから、体は体脂肪の多く、筋肉量の少ない体を目指すようになります。したがって脂肪を燃やしにくく、筋肉を燃やしやすい体になってしまいます。

上記の例でも結局、このスイッチがオンになってしまったから、減少した体重の半分が筋肉という事態になっていると考えられます。

また、サバイバルモードになれば代謝スピードは落ちますから、ダイエット後の体は代謝が遅くリバウンドしやすい体になっていたと考えられます。

急激なカロリー不足を実現すればするほど、体は代謝を下げ、かつ、脂肪をため込み筋肉を燃やそうとします。

そういう意味では、急激に体重を減らすとリバウンドしやすい体になるというのは真実です。そして、カロリー不足を少なくすれば、体重の減少はゆっくりですが、代謝スピードの低下も少なく、筋肉量の減少も比較的少なく済みますので、その分リバウンドしにくい体になるということになります。

では、上記の例ではカロリー不足を少なくすればよかったのでしょうか?

この解決策には2つ問題があります。

まず、カロリー不足をどこまで下げられるかという点です。いくら理屈では分かっても、ダイエットを決心して、1年で1kg減量という計画に我慢できる人はいないでしょう。どれだけ控えめに見ても1か月で1kg以上は痩せたいですし、それでも控えめ過ぎで、できれば2㎏は痩せたいところです。

そうすると、カロリー不足の状況においても代謝速度を低下させないようにする対策として、カロリー不足の幅を小さくするというのはあまり筋の良い方法ではなく、ある程度のカロリー不足を維持したまま、運動を取り入れることで代謝を維持する方が対策としては合理的です。

二つ目のポイントは、カロリー不足を調整しても除脂肪体重(筋肉量)の減少は避けられないという点です。


急激なカロリー不足を抑えて、サバイバルモード突入を避けたとしても、それは結局のところ程度の問題でしかありません。カロリー不足の状況で、体を分解してエネルギーを補っている状況で、筋肉の分解を抑えることはできません。

つまり、過激な食事制限は“この失敗”の原因であることは間違いありませんが、カロリー不足を緩和すればダイエットは成功したのかと言われると、そこは難しく、結果的にはやはり失敗で、その程度が下がったくらいのものです。

筋トレをしなかったのが原因


これも半分正解、半分不正解です。

筋トレをすると体に「筋肉が必要」との信号を与えることにより、ダイエット中でも筋肉減少を食い止めることが出来ます。

では、上記例において、筋トレをしていれば、体重減少の半分が筋肉量の減少という事態は避けられたのでしょうか。

実はここに厄介な点があります。それは、筋トレは運動ですからそれ自体に消費カロリーがあるのと、筋トレ後の筋肉の回復成長プロセスにカロリーを消費します。

食事制限による大幅なカロリー不足の状況で筋トレを足すのはカロリー不足を加速させるだけです。そして、カロリー不足の状況では筋トレ後の回復成長は不十分に終わりますから、トレーニングの効果が出るというよりはオーバートレーニングになってしまった可能性があります。

つまり、筋トレをする時は筋トレの消費カロリーをしっかり考えて食事制限をしなくてはいけません。

筋トレの効果は筋トレ後に生じ、筋トレ後の栄養補給はその効果を発揮する上でカギとなりますから、体重を減少する以上カロリー不足を実現する必要がありますが、そうはいっても筋肉が回復成長するだけのカロリーは摂取する必要があります。

したがって、筋肉減少という上記失敗例の失敗ポイントを回避するためには単に筋トレを追加すればよかったというものではなく、それに加えて食事管理により、筋トレの効果を維持しつつも体重減少が可能なカロリーバランスを実現する必要があったということになります。

筋トレを追加して、食事管理を見直していれば、間違いなく除脂肪体重を維持することが出来たと言えます。しかし、6週間で10kg減量することはできなかったでしょう。

有酸素運動をしなかったのが原因


これはほぼ不正解です。この例で有酸素運動を足した場合に、状況が良くなった可能性は低いです。

有酸素運動には心肺機能の強化という非常に有用な効果があります。したがって、カロリー不足を、“食事制限による摂取カロリー減少”と“有酸素運動による消費カロリー増大”のどちらで実現するのが良いかといえば、有酸素運動によったほうが間違いなく健康には良いです。

したがって、有酸素運動をしたほうが良いというのはその通りです。特に、運動不足の人においては、心肺機能を強化することが健康面の様々な効果があるだけでなく、血流の活性化とインスリン感受性の向上という点において筋トレの効果上昇にもつながりますから、必須とも言えます。

しかし、ダイエットという観点において、体重、体脂肪、除脂肪体重といった数字のみに着目する限り、有酸素運動と食事制限に差はありません。食事管理のように摂取カロリーを減らすのではなく、消費カロリーを増やすことでカロリー不足の状況を作り出すだけです。カロリー不足が体重減少の原因であり、カロリー不足の原因は関係ありません。

もちろん、有酸素運動も運動ですから筋肉を使います。したがって、しない場合に比べて、ダイエット後の体の筋肉量は少し多かったかもしれませんが、筋肉量の減少を抑える効果はほとんどありません。

また、有酸素運動によっても代謝スピードは上がりますが、高強度インターバルトレーニングのようなものでない限り、運動後の代謝にそれほどの影響はないと考えて問題ありません。

なぜかと言うと、トレーニング後に筋肉の回復成長が進むような筋トレと違い、有酸素運動の場合、運動後に何か特別なプロセスが体内で進行するわけではないからです。しないよりは良いですが、その程度でしかありません。

以上、まず、単に有酸素運動を加えるだけでは、カロリー不足を増やすだけで失敗のままなのは筋トレと同じです。さらに、足した有酸素運動の消費カロリー分だけ摂取カロリーを調整して、カロリー不足を調整しても、食事制限のみ調整した場合とほとんど変わりません(体組成とは関係のない健康上の好影響は別にして)。

つまり、有酸素運動の追加はほとんど何の改善にもつながりません。

まとめ


筋トレをしない限り、どれだけ食事管理と有酸素運動を組み合わせても除脂肪体重の減少は止まられませんから、リバウンドしやすい体になります。

では筋トレをそこに加えればよいのかというと、それほど単純ではなく、筋トレする場合には筋トレ後の筋肉の回復成長のことを考えた食事管理が必要となるため、カロリー不足を一定以下に抑える必要があり、必然的に体重減少スピードは制限されることになります。

終わりに


今回の裏テーマはダイエット失敗と体重減少スピードです。

ダイエットにおいて、食事制限だけではだめで、運動も必要と言われます。しかし、上に見てきたように、食事制限のみでも、運動を組み合わせても、体重減少スピードを一定以上にすると必ずダイエットは失敗する運命にあります。

ダイエットを成功させるためには、単なるカロリー計算の足し算ではなく、最適な食事管理と運動のバランスが必要である点を理解する必要があります。

ダイエットには食事制限だけでなく運動が必要と言っても、食事制限に運動も加えて、効果を加速させようとするのが一番危ない考え方です。運動で体が疲れていることを考えてほどほどのカロリー不足にしないと、結局リバウンドしやすい体になってしまい、体重は減少するもののダイエットは失敗するという結末が待っています。

プライベート空間でダイエット&ボディメイク
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