正しい腹筋のやり方を頭で理解するための解剖学


はじめに


前々回の記事(筋トレ初心者が知っておくべき腹筋トレーニングの基礎)で腹筋エクササイズに関する基本をいくつか説明しました。そして、その中で腹筋のやり方について少しだけ著名解剖学者のドラヴィエを引用しつつ解説しましたが、すこし足りないと感じたので、もう少し掘り下げてみます。

腹筋トーク

したがって、今回のテーマは“正しい腹筋のやり方を頭で理解する”です。

正しいやり方はこうですと示すだけではなくて、正しいやり方と間違ったやり方を筋肉の動きから説明していきたいと思います。かっこよく言うと、腹筋エクササイズの解剖学的考察です。

もっとも、あくまで目的は、正しい腹筋のやり方や、間違ったやり方がなぜ間違っているかをシンプルに理解することにつきますから、説明はシンプルなものにしています。解剖学的に不正確だといったような突っ込みはご遠慮ください。

腹筋にもいろいろありますが、基本的な説明ということで腹直筋のみを対象としています。また、絵をシンプルにするために腸骨筋は省略しています。

腹筋の構造


まず、腹筋の構造からみていきます。下に腹筋のイメージを示します(へたくそですみません)。

腹筋の動き

上の図に描いたように腹筋というのは肋骨と骨盤をつないでいる筋肉です。したがって、腹筋に力を入れる(収縮させる)と胸と骨盤が近づき、骨盤は傾き背中は丸くなります。逆にいうと、背中が反っている状態は腹筋が伸びている状態です。

腹筋のエクササイズというのは腹筋を収縮させる運動ですから、必ず背中は丸くなっていなければなりません。これが大原則です。どんなエクササイズであれ、背中を丸めない腹筋エクササイズは間違っています。

間違った腹筋エクササイズの特徴


フィットネス業界には間違った腹筋エクササイズがあふれていますが、下に典型的な間違った腹筋のやり方を示します。

間違った腹筋

何が間違っているかというと、背中が反っている点です。背中をまっすぐにしている場合と比べて、胸部と骨盤はむしろ遠くなっていますから、腹筋は収縮していないことになります。つまり、腹筋の運動ではありません。

なぜ、こんな腹筋をしてしまうのでしょうか。それは、フリーウェイトトレーニングをしたことがなく、マシンなどを使っている多くの人は、筋肉の構造・機能からエクサイサイズを考える習慣がなく、動きを中心にエクササイズを考えていて、“この動きはどこどこの筋肉に効く”といった整理をしているからです。

その延長で、寝て上体を起こす運動をすると腹筋が鍛えられると思っているために、腹筋を収縮させることではなく、上体を起こすことが目標になってしまいます。

そして、上体を起こすことを意識すると下記の大腰筋と大腿直筋を無意識に使ってしまいます。この二つは脚を胴体に近づける筋肉ですが、簡単に言うと背骨の下側につながっているため、この筋肉を収縮させようとすると必然的に背骨の下側が引っ張られ背中が反ってしまうことになります。

大腰筋

最悪の腹筋エクササイズ


ドラヴィエがBack Breakers(背中壊し?)と呼んでいるエクササイズを紹介して、上記のポイントを整理してみましょう。

背中クラッシャー

このエクササイズは、床の上に寝て、両脚を少し浮かせた後に、交互に上下運動をします。“脚を床に着けて休んではいけません”などと言われたります。

このエクササイズの問題点は以下の通りです。
1.まず、腹筋は肋骨と骨盤を繋げている筋肉であり、脚につながってはいませんから、そもそも脚を動かすことは腹筋と無関係です。
2.脚を持ち上げようとすると必然的に大腰筋と大腿直筋を使いますから背中は反ってしまいます。それだけならいいのですが、もし、腹筋に力を入れていれば、腹筋は全力で背中を丸めようとしますから、矛盾した動きをすることになり、背中に負担をかけて痛めやすくなります。

結果として、ケガをしやすいうえに腹筋とは何の関係もないというエクササイズです。

以下では、腹筋のエクササイズのうちで最も基本的な2つ、クランチとリバースクランチのやり方を検討します。

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クランチのやり方


まずはクランチの間違ったやり方から。

間違ったクランチ

上は間違ったやり方です、すでにみたように、大腰筋と大腿直筋を使って上体を持ち上げているだけであり、胸部と骨盤は全く近づいていません。そして、腹筋に力を入れているのであれば、矛盾する動きをしている状態ですから背中を痛めます。

正しいやり方は、下記です。

正しいクランチ

腹筋の収縮は、胸部と骨盤を近づける動きですから、動きは非常に小さく、背中を丸めるだけです。上体を起こす必要はありません。腹筋運動は腹筋という筋肉を収縮させる運動であり、上体を起こす運動をすると自動的に腹筋が鍛えられるわけではありません。

リバースクランチのやり方


腹筋の基本エクササイズとして、リバースクランチも説明します。

リーバス―クランチとはいわゆる脚上げ腹筋運動のことです。これはいろいろなバリエーションがあるのですが、床に寝て行う基本的なものを説明します。

なお、これはレッグレイズとも呼ばれるエクササイズですが、脚を持ち上げるのではなく、骨盤を持ち上げる結果として脚が持ち上がるだけです。

こちらもまずは間違ったやり方から。

間違ったリバースクランチ

これが典型的な間違ったやり方で、足を持ち上げることに専念してしまい、結果として大腰筋と大腿直筋を使うから背中が反ってしまうのです。そもそも、腹筋と脚の動きは関係ありません。レッグレイズという名前を意識しすぎないようにしましょう。

キツイから効いているはずだと思うのはまちがいで、背中を丸めようとするのと同時に背中を反るという矛盾した動きをしているからきついだけです。

以下が正しい動きです。

正しいリバースクランチ

まず、腹筋の収縮に足は関係ありませんから、最初から持ち上げておくのが正しい動きです。そして、そこから骨盤を胸に近づける動きをします。

お尻を床に着けたまま胸を骨盤に近づけるのがクランチで、頭を床に着けたまま骨盤を持ち上げて胸に近づけるのがリバースクランチです。

まとめ


腹筋は肋骨と骨盤をつないでいる筋肉ですから、腹筋運動と言うのは背中を丸める動きにつきます。それ以外の足を動かしたり、上体を持ちあげたりする動きは腹筋とは関係ないということです。

もちろん実際は脚も多少動いたりしますし、足が動くエクササイズが全て町がなわけではありません。また、応用のエクササイズでは大腰筋と大腿直筋が結構関与する動きをするエクササイズも当然あります。しかし、大事なのは”動き”を覚えて真似しようとすることではなく、腹筋の動きを理解して収縮を意識することにあるという点を理解する必要があります。

応用エクササイズをいかに見よう見まねやってみたところで、腹筋を収縮させる感覚を身に着けていないと腹筋に効かせるのはほぼ不可能です。まず、基本的なクランチとリバースクランチで腹筋の収縮を身に着けることが重要です。

終わりに


筋肉の動きを理解することは重要です。何々の動きをするとどこどこの筋肉が鍛えられるといった整理は良くありません。

時々、ベンチプレスなどで、いろいろなトレーナーにフォームを何度も見てもらい、毎回正しくできていると言われているにもかかわらず、どうしても肩に効いてしまうと悩む人がいますが、それは筋肉の動きを理解していないから正しい意識ができていないだけです。

そうなってしまえば、フォームを大切にするという大事なことが完全に裏目に出てしまいます。筋トレでは、狙った筋肉に効かせることが最優先です。

ドリアン・イエーツは、フラットベンチプレスはどうやっても三角筋前部が介入するため胸部への刺激が十分でなく、胸部全体を刺激するには三角筋の介入の少ないインクラインプレスの方が効果的だと言い切っています。言っていることが正しいかどうかは別として、態度としてはそれでいいのだと思います。自分が狙った筋肉を意識できるエクササイズが一番です。そしてそれこそがフリーウェイトを使う理由でもあります。

参考


今回の説明は、以下のFrederic Delavier書籍における説明に準拠しています。それにしても早く最新版の翻訳をしてほしいです。
1. Strength Training Anatomy 3rd edition
2. Women’s Strength Training Anatomy Workouts

プライベート空間でダイエット&ボディメイク
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