筋トレ初心者が理解すべき重量設定の基本:何kgを持つべきか


はじめに


今回は筋トレにおける重量設定の話です。

体を大きくしたい人であれ、ダイエット目的で筋トレをしている人であれ、生理学的な目標は、体に「筋肉が必要だ」という信号を与えることですから、重量設定の基本は同じです。

重量設定方法は、ある程度筋トレをやっている人はみんな知っている基本中の基本の話なのですが、初心者と話すと、意外なまでに多くの人が良く知らないままジムで筋トレしていたりします。

特に、「何kgのウェイトを持てばよいのか」と「(スクワット等を)何回やればよいのか」が同じ議論であることを知らない人はたくさんいます。

また、重量設定に関してネットでは、女性をターゲットとして、“何kgまでなら腕は太くすることなく引き締められる”、“体重の半分くらいまでなら脚は太くならない”等、経験者から見ると理解できない情報が氾濫しています。

ムキムキを目指すのではなく引締め目的であれば、重いものを持つ必要はなくて軽い重量でOKといった情報はでたらめで、世界中で専門家が絶滅させようと頑張っているものです。

そういった誤った情報に騙されて時間を無駄にする人が一人でも減るように、初心者向けに丁寧に解説したいと思います。



バーベルやダンベルの存在意義はエクササイズごとに重量を調整できる点にあります。

基本的な考え方


What weight should you work out with? Muscle don’t know weight-muscles know and respond to failure.
-Rich Gaspari

(個人的訳)
何キロのウェイトを持てば良いのか?筋肉は重量なんて知らない。筋肉はfailure(失敗)のみを知り、そして反応する。

筋肉というのは最終的には脳に支配されています。筋トレして筋肉を使うと勝手に筋肉が大きくなるわけではありません。脳から筋肉を成長させろという指令が出て、体の中でいろいろ起きるから筋肉は成長します。

そうすると、筋トレの目的は脳からの成長指令を出せることになります。

しかし、筋肉や脳は重量なんて知りません。「35kgのバーベルをもっている、よし筋肉を成長させよう」などと脳が考えるわけではありません。上の発言の前半はこのことを説明しています。

バーベルを持ち上げていて、途中からきつくなり、「あれ、やばいな」となってもまだ持ち上げ続けて、筋肉を総動員して頑張ろうとするけど、結局最後に持ち上がらなくなる。これが上記のfailure(失敗)の意味です。

この、筋肉を総動員して限界まで(持ち上がらなくなるまで)筋肉を使うという刺激を受けるから、脳は「筋肉が足りない」と感じ、「筋肉が必要」との指令を出すのです。

したがって、筋トレにおいて重要なのは、何キロを持つかではなく、失敗するまで(もう持ち上がらないとなるまで)、持ち上げることになります。

RMとは何か


上述のように、筋トレにおいて大事なのは失敗するまで持ち上げることであり、何キロを持ち上げるかではありません。

しかし、例えば1kgのダンベルといった軽いウェイトを持ってしまったら、いつかは疲れて持てなくなるのでしょうが、限界まで達するのにかなりの時間がかかりそうです。その一方で、重すぎるウェイトを持って、1回しか持ち上がらないと、トレーニング時間5秒とかになって、筋肉が成長するとは思えません。

結局問題は、何キロのウェイトを持つかではなく、何回目で持ち上げられなくなる重量が最適かという話になります。

ここでRM(アールエム)という考えが登場します。

RMというのはRepetition Maximumのことで、繰り返せる最大重量のことを言います。たとえば8RMというのは、8回は連続して持ち上げることができるが9回目は持ち上がらない重量のことを意味します。1RMと言えば、まさにオリンピックの重量挙げで競う、1回持ち上げられる最大重量のことです。

力の強い人もいれば弱い人もいます。また、人ごとに得意不得意があります。腕の筋力が強い人もいれば、肩の筋力が強い人もいます。同じ体重だからと言って同じ重量が適切だとは限りません。

つまり、何キロが最適かは、人ごと部位ごとに違うという話になってしまいますから、何RMの重量を使うのが最適かという形で議論されることになります。「あなたは女性で体重50kgですから10kgがよいでしょう」ではなくて、「このエクササイズは(誰であれ)10RM(10回持ち上がるかどうかの重量)くらいの重量でやるのが良い」という言い方がされます。具体的な10RMは人ごとに違います。体重も関係ありません。

この点、全員一律に何キロとか体重の何倍という話をしている情報は全てでたらめということになります。20kgが軽い人もいれば重い人もいます。それは体重の半分でもそうです。

だから、重量が細かく変えられるバーベルやダンベルを使うのです。

時々、バーベルを使うきつい筋トレは不要で、自宅で行う腕立て伏せや腹筋で十分という情報がありますが、40kg以上ある自分の体を持ち上げるより、10kgのバーベルを持ち上げる方がなぜキツイのか理解できません。完全に雰囲気だけのでたらめ情報です。

自分の体を持ち上げる腕立て伏せと、バーベルを持ち上げるベンチプレスは運動力学的には同じです。ただ、調整できない自分の体を使うより、重量を細かく調整できるバーベルを使ったほうが効率的というだけです。

バーベルに付けるプレートの量を調整して、それぞれにとっての10RM(たとえば)を実現します。10RMの重量は人ごとによって当然異なりますが、各人にとって10回持ち上がるかどうかの重量ですからキツさは全員同じです。

最適RMレンジ


結論から言うと、体を大きくするための筋肉成長(及びダイエット中の筋肉維持)を目的とした場合、6RMから12RMの重量が最適と言われています。

5RM以上のかなり重い重量では筋力増加、13RM以下の軽い重量では筋持久力が鍛えられるというのが現時点での科学者たちの合意と言っても過言ではありません。

ここで筋力というのは、大まかにいうと筋繊維1本の力のことです(ちょっと不正確ですがそのくらいの理解でよいと思います。本当は神経系とかが絡んできます)。腕が太い人は筋繊維が多い(大きい)人ですから力が強いのは当然です。しかし、細身なのに力が強い人を見たことがある人は多いと思います。そういう人は筋力が強いのです。筋繊維の量が少なくても1本あたりの力が強いので全体として強い力を発揮できます。

体重制限のある重量挙げの選手やボクサーなどは同じ体重でどれだけ強い力を出すのかが重要ですから、5RM以下の高重量で鍛えたりします。筋力をターゲットとした筋トレというのは見た目には一切関係ありませんから、まさに競技アスリートのためのトレーニングです。

また、筋持久力トレーニングを誤解している人も多いのですが、軽い重量で筋トレすると持久力が鍛えられると言っても、あくまで限界まで持ち上げるのが前提条件です。軽いダンベルを20回、30回とあらかじめ決めた回数を持ち上げても何も鍛えられません。毎日家から駅まで歩いても脚が太くならないのと同じで、できることをいくらしても変化は起こりません。

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筋力にしろ、筋持久力にしろ、限界(failure:失敗)まで行わなければ、体の変化は起こりません。

RMと効果

これはなんとなくわかると思います。軽い重量ををたくさん持ち上げて限界に達したり、超高重量を1回か2回持ち上げて限界になるより、そこそこ重い重量をそこそこの回数を重ねて限界に達した方が、体へのダメージ(刺激)が大きいというのは感覚的にわかると思います。この程度の理解で良いと思います。また、最終的には、理屈というよりも、私たちの体はそうなっているという事実の話です。

もっとも厳密に言うと「筋肉の成長のためには6RMから12RMの間の重量が良い」という説明は正確ではありません。「持ち上げていく中で、6回から12回の間で限界が来る重量が良い」という表現の方が正確です。

このわずかな説明の差で何が異なるのでしょうか。

10RMで3セットやるとします。もちろん10RMですから1セット目は、10回で限界になり、11回目は持ち上がりませんでした。そして、1分休んで2セット目を始めるとします。ここで、2セット目に10回持ち上がるかといえばそんなわけはありません。1セット目で疲れていますから、8回目くらいで限界になります。

それは全く問題ではありません。6回から12回の間に入っているからです。その間で限界に達することが重要です。同様に、もう一分休んだ後の3セット目で6回しかできなくても問題ありません。

ここで、「何とか10回持ち上がるくらいの重さで3セットやるのが良い」というアドバイスの10という数字にこだわり、セットごとに重量を軽くして毎セット10回にする必要はありません。持ち上げる回数が重要なのではなくて、6回から12回くらいの間で限界にくるまで持ち上げるのが良いということです。

そして、セット間の休憩を短くして、畳みかけるように複数セットをして、狙った部位をへとへとに疲労させるのが一番大事です。

関連記事
筋トレ初心者が理解すべき10回3セット法の要点

6RMか12RMか


ここで、少しやったことある人なら6RMと12RMは結構重量が異なることを知っていると思います。

そこで、どっちが良いのかという疑問はどうしても出てきてしまいます。この疑問へは元ボディビルチャンピオンのロニー・コールマンが良い回答をしています。

ロニー・コールマンは、筋トレは量ではなく質の問題であり、どれだけ質の高い疲労状況に追い込むのかが重要であると説明しています。

そして、体がどれだけ追い込まれたかは自分で判断するしかないと説明しています。つまり、どれくらいの重さでやるのかは人によっても、部位によっても異なるということです。

ロニー・コールマン自身は、部位によっても違いますが、基本的に各セットで10回から15回に入るように重量設定をしています。この回数は、一般論としては結構多い方で、かなり珍しい部類に入ります。特に15RMというのは、一般的に筋肉成長ではなく、筋持久力を鍛える重量とされています。

実際に、多くの人に、もっと重量を上げて回数を少なくした方が成長するとのアドバイスを受けたそうです。しかし、ロニー・コールマンは聞き入れなかったそうです。なぜなら、狙った筋肉を完全にパンプ(血流でパンパンになった状態)させる感覚を得るには、自分にとってはその回数が適切だったからだと述べています。

これは部位によっても人によっても違うし、あなたにとっては6回や12回かもしれないし、自分で見つけていくしかないと述べています。同じことがセット数にもいえると説明しています。

くれぐれも8RMと12RMのどっちが良いかといった数字の議論をしてはいけないと強調しています。

初心者における注意点1


初心者にとってはフォームの習得が一番重要です。

また、初心者の場合、軽すぎてはいけませんが、1セット目を10回で終えて、2セット目で10以下で限界に達すればそれでも十分筋肉は成長します。

最終レップで10回できないくらいの重量でやっていれば、毎セット限界に達しなくても十分です。それよりも、12レップくらいで回数を重ねてフォームを習得することに注意を払いましょう。6回が限度くらいの重量でフォームを習得するのは難しいです。

フォームを習得するには回数を重ねることが重要であることも最初は意識する必要があります。

初心者における注意点2


筋肉を成長させるには、毎回負荷を増やしていくことが重要です。そして、負荷を増やすとは、重量を増やすことだけでなく、同じ重量でも回数が増えれば負荷は増えたことになります。

初心者の場合は、最終セットの限界回数が毎回のように伸び(前回は7回でつぶれたが今回は8回できた等)、また、10回できるようになったら重量を増やせばよいので、特に意識しなくても毎回負荷を増やしていくことができます。

しかし、ある程度慣れてくると種目によっては、1セット目が10回できて、2セット目が8回しかできなかったという状況が続くことがあります。その場合は、10回という数字にこだわり、10回できるようになるまで重量を増やさないのではなく、少しでよいので重量を増やすのが良い方法です。それで8回と6回のようにしてしまいましょう。

最終的に6回から12回の間に入っていれば問題なく、前回と同じになる可能性があるのであれば、回数を減らしてでも重量を増やした方が新しい刺激になります。

最初に決めた10回といった数字にこだわるのではなく、できる限り毎回負荷を増やして(変えて)いくのが重要です。

まとめ


体を大きくするためや、ダイエット中に筋肉を維持するための筋トレにおいて最適な重量は、種目ごとの6RMから12RMです。もっとも、重量が大事なのではなく、6回から12回の間で限界に達するまで持ち上げるのが重要です。

なお、自分の筋肉を使い切るために何RMが最適なのかは、合計で何セットするのかも含めて(もちろん最終的には種目選択も含む)、いろいろ試して自分で見つける必要があります。

終わりに


今回は、筋トレをしている人なら誰でも知っているけど、初心者と話すと意外に知られていない重量設定の話でした。

なお、初心者の注意点として書いたように、フォームが一番重要なことは頭に入れておく必要があります。間違ったフォームであれば、6回から12回の間で限界まで追い込んでも狙った筋肉は成長しません。

しかし、例えば背中のエクササイズのように、腕で何とかなってしまうような軽い重量を使うといつまでたってもフォームが身につかない種目もあります。

ここは難しいですね。

参考


Ronnie Coleman HARDCORE
RICH GASPARI 51DAYS NO EXCUSES
Jim Stoppani. Jim Stoppani’s Encyclopedia of Muscle & Strength

プライベート空間でダイエット&ボディメイク
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