筋トレ初心者のメニュー選び:週3全身トレーニングの特徴


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はじめに


今回は、筋トレ初心者におなじみの週3全身トレの話です。

筋トレを始めるのにあたって、どのようなメニューを組んだらいいのかというのは初心者なら誰もが悩むところですが、経験者から“最初は週3全身トレだろ”と当然のようにアドバイスを受けた人も多いかと思います。

しかし、最初は週3全身トレか、最初から分割するのが良いかというのはなかなか難しい議論だと思います。

週3全身トレ―ニングメニューを強く勧める意見も多いですが、Bodybuilding.comの肉体改造プログラムなどを見ると、Jamie EasonのLivefitTrainerをはじめ多くのプログラムが最初から分割法でスケジュールされています。また、私の保有している書籍を見ても、リー・ラブラダ、リッチ・ギャスパリ、アーノルド・シュワルツネッガー、マイケル・マシューズといったそうそうたる面々が初心者に対して分割法のメニューを紹介しています。

そう考えると、“筋トレ初心者は週3全身トレから始めるべき”と言い切ることはできないと思います。しかし、自分自身が最初はそうだったということもあり、最初は週3全身トレでしょう、という思いも捨てきれないので、初心者に週3全身トレを強く勧めているカリスマたちの意見を紹介してみたいと思います。

なお、初心者に週3全身トレを勧めているカリスマは、ドリアン・イエーツ、クリス・アセートそして、ジム・ストッパーニです。


また、肉体改造プログラムではなく、ボディビル入門といったタイプの本の多くは週3全身トレを勧めています(シュワルツネッガーが例外的です)。

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最初に鍛えられるのは神経系


神経システムの話を一番大きな理由として挙げているのはジム・ストッパーニです。

新しいスポーツを始めた時に誰もが経験したことがあると思いますが、今までやったことのない動作を行うと最初はうまくできないのですが、やればやるほどうまくなっていきます。

これは筋トレにもいえて、初心者は初めて数か月の間、毎回重量や回数が上昇します。初心者だからと言って急激に筋肉が増加しているわけではなく(それもありますが)、その動作に適応して神経システムが成長しているのです(水分量や筋グリコーゲンの増加、筋トレ後のパンプで急激に筋肉が増えたように感じますがそうではありません)。

神経系が成長すると、その動きに応じて筋肉が効率的に動くようになりますから、中級者以上になって高重量を上げるようになるためには神経系の成長というのは不可欠なプロセスです。そして、神経システムの成長に必要なのは回数です。同じ動作を繰り返すのが一番神経システムを成長させます。

ジム・ストッパーニは、神経システムの学習効果を最大限にするためには、毎回同じエクササイズを行い、数多く繰り返すのが良いから、この観点にたって初心者には週3全身トレが良いと説明しています。

フォーム習得を最優先すべき


フォーム習得の重要性を強調するのはドリアン・イエーツとクリス・アセートですが、ドリアン・イエーツが6週間で分割法に移行するのに対して、クリス・アセートは最低でも4か月(から1年)すべきと言っており、かなりの重点を置いているので、クリス・アセートの説明に準拠します。

クリス・アセートは、トレーニーを初級者、中級者、上級者の3段階に分けていて、初級者のゴールはフォームの習得であると言い切っています。

もっとも、フォームの習得についてかなり実質的な捉え方をしており、フォームの習得とは筋肉の連動をマスターすることと、特定の筋肉を動かす感覚を身に着けることだと説明しています。そして、これには時間がかかるから、焦って高重量を扱わずにじっくり回数を重ねることが重要だと説明しています。なお、内容としてはドリアン・イエーツも似たようなことを言っています(期間が短いだけ)。


つまり、正しいフォーム習得と言っても手幅や足幅といった形式なことを体で覚えろと言っているのではなく、バーベルを動かすのにどの部位のどの筋肉がどういう動きをするのかを理解して、それらを意識的に動かして動作をする必要があると、結構ハードルの高いことを要求しています。

そして、これは教えることができないものであり、自分で回数を重ねて習得するしかなく、そのためには週3全身トレでとにかく回数をこなすしかないと言っています。

この点は本当に重要だと思うので補足します。

フリーウェイトを教える時に、手幅や足幅は何センチか、スクワットで膝は何センチくらいなら前に出していいのか等を一生懸命聞いてくる人がいます。正しいフォームが重要というのを形式的に考えすぎていて、型を覚えようとするわけです。

確かに、フォームは大事ですが、正しいフォームでエクササイズをすると狙った筋肉が自動的に鍛えられるわけではありません。自分で意識しない限り狙った筋肉に効かせることはできません。

ベンチプレスをいかに外見上完璧なフォームで行おうが、肩甲骨を寄せて大胸筋でバーベルを持ち上げるように意識せずに、とにかくバーベルを高く持ち上げることに集中していたのでは、初心者はどうやっても肩をかなり使ってしまうと思います。スタート時にいくら正しいスタートポジションを取っても、動作中に狙った筋肉を動かせなければ意味がありません。

そうはいっても、筋肉を意識するのは結構時間がかかるから、高重量を使わない週3全身トレで回数を重ねて、じっくり習得するのが大事というのがこの主張のポイントです。もっとも、クリス・アセートはほどほどの重さを10RM程度の重さと説明しているので、20RM等ではない点には注意してください。

また、クリス・アセートと言えば爆発的挙上で有名ですが、初心者はゆっくり挙上しろと言っています。

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その他の効果


ジム・ストッパーニがほかにも特徴を書いていますので紹介します。

脂肪燃焼目的の場合

毎回のトレーニングで全身の主要な筋肉を刺激することができるので、もし筋トレの目的が脂肪燃焼であれば、代謝の活性化という観点からは毎回全身トレの方が分割法よりも優れていると説明しています。

成長ホルモンの話

全身トレーニングの特徴は、1回のトレーニングで刺激を与える筋肉の量が分割法に比べて大きいことであり、これは、成長ホルモンとテストステロンの分泌量の増加につながるから、体を大きくした人には週3全身トレが良いと説明しています。

階段効果

原著では“Staircase effect”とされているのを階段効果と訳しましたが、いわゆる“超回復(の説明によく出てくる絵)”のことを言っているのだろうと思います。

「筋肉の成長にとっては、前回のトレーニングの効果が消えないうちに続けてトレーニングすることが重要であり、間隔を開けすぎると前回のトレーニングの効果が消えてしまって良くない」との主張を階段効果と呼んでいます。

その観点からはトレーニング頻度の多い毎回全身トレが良いと説明しています。ジム・ストッパーニは、“Some experts believe that the staircase effect is critical to muscle adaptation.(一部の専門家は階段効果が非常に重要であると信じている。)”という微妙な言い方をしているのですが、結論としては、全身トレが筋肉量を増やす上では効果的であると説明しています。

終わりに


一部のカリスマたちが、週3全身トレを初心者に勧める見解の根底にあるのは、神経系の成長とフォームの習得であり、そのためには回数を重ねることが重要だからです。したがって、週3全身トレを選んだのであれば、高重量に挑戦するのではなく、ほどほどの重さで回数多くやって、2つの目的に重点を置くのが整合的な理解だと思います。

その他に書いたジム・ストッパーニが説明する3つの利点のうち、脂肪燃焼目的には全身トレが最適であるという見解はその通りだと思います。しかし、残りの成長ホルモンの話と階段効果の話は理屈として少し表面的で、分割法に対して優れているという理由としては説得力に欠けるような気がします。

こうやってまとめてみると、ドリアンイエーツのように1か月か2か月したら、分割法に移行した方が良い気がしてきました。フォームが大事と言っても3か月以上週3回同じメニューで我慢するのは精神的に持たない気がします。

また、初心者はベンチプレスの後にインクラインプレスとフライ、肩ならショルダープレスの後にサイドレイズとベントオーバーラタレルレイズ、背中の日にチンニング、ベントオーバー、デッドリフトの3つは、軽い重量でも全然恥ずかしくないので遠慮せずに(これが一番大事。ガリガリでも全然恥ずかしくないです。みんなそういう時代がありました。)やったほうが良いと思います。体変わります。

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参考


Jim Stoppani. Jim Stoppani’s Encyclopedia of Muscle & Strength
ドリアン・イエーツ 『ドリアン・イエーツのすべて』
Chris Aceto. Championship Bodybuilding

プライベート空間でダイエット&ボディメイク
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