筋トレで怪我したときの対処の基本


はじめに

今回は、筋トレで怪我したときに知っておくべき基本的な対処法についてです。

ブログのテーマ的に、筋トレで怪我したときというタイトルにしていますが、特に筋トレに限定する意味はほとんどなく、運動で怪我したときの基本的対応を解説します。

ネット上では、筋トレに限らずスポーツで怪我したときの対処法を解説するものはたくさんありますが、専門的な詳しい情報か、個人的な体験談的なものが多かったりします。

それらには有用な情報がたくさん含まれているのですが、基本的な原則論をシンプルに説明したものはあまり無いように感じています。

もちろん、実際には、捻挫か骨折か、フォームが原因かオーバーユースか等、個々の症状ごとに対応は分かれてくるので、基本的な原則論なるものが具体的な場面でどこまで役に立つのかは不明です。

しかし、筋トレの場合、ダイエット等のボディメイク目的で始める方も多く、それまでほとんどスポーツを経験したことのない人も多くいます。

そこで、そういった方たちが、万が一怪我してしまった時に、個別具体的な対処を調べる前の基礎として、怪我からの復帰についての基本的な考え方を解説したいと思います。

参考文献


一般論→各論→補論といった並びで解説が進み、体系的に学びたい人のための入門用テキストといった感じでとても分かりやすい。しかし、座学のためのテキストといった感じであり、怪我したときの対応マニュアル的な要素は薄いので好き嫌いは分かれるかも。記事はこの本の前半の一般論部分に準拠しています(つもり)。


この本は本当に面白いと思います。疑問に科学的に答えるといった宣伝をされていますが、著者は、“最新の研究結果”といったものに比較的懐疑的でそこら辺のバランス感覚が非常に面白い。

復帰プロセスの大原則

トップアスリートの周りでは巨額のマネーが動きますから、怪我をしたときには、手術するか否か、リハビリのステップ等、どうやって競技に復帰するか、そのプロセスについて複数の専門家たちが激論を交わすことになります。

もちろん、何が正解というものはなく、実際には試行錯誤の連続でしょうが、復帰過程において、現代スポーツ科学の見地から採用されない方法があります。

それは、怪我した部位が回復するまで完全休養することです。

怪我した部位を長期間かばうと、周囲の筋肉は弱くなり、しかも線維化して硬くなる結果、可動域が狭くなります。

これでは回復後に怪我を再発しやすい体が出来上がるだけで、アスリートとしてそれは避けなければなりません。きっちり元の状態に戻す必要があります。

そこで、何が行われているかというと、本人がびっくりするほどの早い段階から怪我した部位を動かし始めます。

時々、怪我したときは勇気をもって完全回復するまで安静にしておかなくてはならないなんて言われたりします。

一般人レベルだと、治ってないのにすぐに無茶してさらに悪化させる人が多かったりしますし、また、オーバーユース(使いすぎ)の場合はしっかり休養することが重要だったりしますから、あながち間違ったアドバイスと言い切ることはできませんが、怪我した場合の対処法の一般論としては間違いです。

怪我した部位をずっと安静にして入れば良いわけではなく、回復過程に応じて損傷部位を動かして、痛みの解消だけではなく、関節可動域と筋力という機能面でもしっかり回復させる必要があります。

もっとも、だからと言って、怪我した次の日から痛みをこらえて体を動かし始めたらいつまでたっても治りません。

以下具体的に見ていきます。

ファーストエイド

まず、怪我したときに最初にしなければならないのは、ファーストエイドと呼ばれるアクションで、RICEと呼ばれるものです。

ファーストエイドというのは、いわゆる応急処置という意味ですが、参考文献に「ファーストエイドは24~72時間実施するのが普通です。」という解説がありましたので、応急処置という言葉から想定されるよりも少し長い期間行われる、リハビリ開始前の処置の意味で以下使用します。

RICEとは、Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(高挙)の略です。

冷却と言ってもどうするのか等、それぞれのやり方の詳細は参考文献にゆだねるとして、ここではその目的を解説します。

怪我をしたということは、筋肉なり腱なり骨なり、何らかの組織細胞が壊れたということですから、炎症が起こり、つまり、痛みが発生します。

そして、この炎症は徐々に進行し、最初はそこまでひどくなかったけど夜になったら痛くて眠れないなんてことが起こるわけです。

そうはいっても、炎症は概ね72時間程度で収まり、痛みも落ち着いてくると言われています(もちろんここは怪我の程度に依存します)。

リハビリを始めるのは痛みが落ち着いてきてからです。リハビリは、炎症が落ち着き回復過程が始まってから開始するもので、炎症が落ち着くまでは冷やしたり安静にしたりして、炎症をできる限り抑えることが重要です。

つまり、いくら早い段階から動かすことが有用と言っても、最初の2~3日間は冷やして安静にしている必要があると言うことです。

そして、痛みが落ち着いて来て回復過程が始まったのであれば、損傷部位に栄養を運び込む必要がありますから、冷やして血流を悪くするのではなくて、今度はむしろ温める必要があります。

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それと共にリハビリ開始です。

リハビリ

リハビリに関しては、まず最初に、リハビリとは治療行為ではないという点を理解する必要があります。

怪我を直す運動と言うものはありません。

怪我が回復していく間中ずっと安静にすると、筋力弱まり、関節が硬くなるので、悪化させない程度で少しずつ動かして、そうならないようにするのがリハビリの目的です。

もちろん、怪我の回復過程とは、怪我した部位に血液が栄養を運んで起こるわけで、体を動かせばその部位の血流が活性化しますから、無理のないリハビリが回復過程の促進に全くの影響なしかと言えば、そうではなくむしろ効果的でしょうが、あくまで目的は違います。

いずれにせよ、大事なことは、“怪我に効く運動”なるものはないことは理解する必要があります。

具体的なリハビリについては、部位ごと損傷ごとにいろいろあり、参考文献等に譲りますが、関節可動域を復活させるためのストレッチと、筋力を回復させるための軽めの筋トレ的な運動です。

軽めの運動と言っても、どの程度かという疑問はあると思いますが、その指標は痛みです。「痛い!」と涙をこらえて運動するのは論外で、痛みが無い範囲で、日常動作的なもから初めて、少しずつ動かしていきます。

また、参考文献によると、リハビリエクササイズをすると、血流が活性化して、一時的な炎症を起こすことが多いので、リハビリエクササイズの後は冷やすことも重要とのこと。

このアイシングをしないと、痛みが引いたと思ってリハビリ開始したら、2~3日してまた痛みが出てきて、と行ったり来たりの小康状態に陥ってしまうので、リハビリ後のアイシングの重要性を強調しています。まあこれは、この記事の対象を超えた、完全にアスリートのスポーツ障害の世界かとは思いますが。

いずれにせよ要点は、100kgのベンチプレスで肩を怪我したとして、なんとなくで3週間安静にした後で、いきなり、70kgくらいならいいだろうなんて考えて、ベンチプレスを開始するのではなく、ファーストエイドが終わったら、痛くない範囲で怪我した部位を動かし始め、少しずつ少しずつ体を元に戻していくことが重要ということです。

病院か民間療法か

もう一つ重要なことがあります。

それは、怪我したときの最初の選択は、病院に行くか行かないかの選択だということです。

ここでのポイントは、病院に行くか、それとも、整体院等民間療法の施術院に行くかの選択ではないという言う点です。

ファーストエイドの観点からは、理屈上、どこをどの程度怪我しているのかをはっきりさせるのが一番重要です。

そのためには、整形外科に行き、X線等で診断を仰ぐ必要があります。そして、この診断行為をできるのは病院だけです。ここが分からなければ、理屈上は最適なファーストエイドはできません。

もちろん、一般トレーニーの場合、明らかにヤバいと感じるケースではなく、ちょっとひねった程度あれば、アスリートのように掛かりつけのスポーツドクターがいるわけではありませんし、いちいち病院に行ったりはしないでしょう。それはやむを得ません。

しかし、医者の正確な診断を仰ぐかどうかにかかわらず、怪我からの回復過程は変わりません。

つまり、まずファーストエイド、続いてリハビリです。

病院に行くまでもないと思うのは良いとしても、すぐにマッサージ、指圧、整体などに行って、ファーストエイドを飛ばしていきなりリハビリを始めるような状況になるのだけは避けなければなりません。

病院に行かないということは、自分でファーストエイドを見積もって実施するということですから、まずは、痛みの峠を超えるまでは安静を保つ必要があります。くれぐれも炎症が収まっていない状況でその部位を動かすようなことが無いようにする必要があります。

痛みのピークを過ぎてから、整体院等に行って、ストレッチ等の物理療法についてアドバイスを仰ぐのが良いと思います。

最後に精神論

せっかくなので最後に書かせてください。

ロニー・コールマン(世界大会を6連覇したアメリカの超有名なボディビルダー)はその著者の中で、一般トレーニーからの怪我に関する質問に対して、真っ先に以下のようなことを言っています。

I have injuries year-round – it’s been that way since I started – but at least that means I’m pushing myself to improve. A human being can’t possibly bodybuild correctly without getting injured sometimes. You learn your lesson about what you did wrong, work around it and do the best you can.

(勝手訳)
トレーニングを開始して以来、私は常にどこかを怪我している。しかし、それは、私がさらなる向上を目指して自分自身を駆り立てていることを意味している。人間は、時には怪我することなくして、正しく体作りをすることはできない。間違いから自分だけの教訓を学び、それを分析して、自分にできるベストを尽くすのだ。

この言葉を聞いて、カッコいいと思うか、あきれたポジティブ野郎と捉えるかは人それぞれでしょうが、私はカッコいいと思います。

筋トレをボディメイクの手段とする以上、その本質は重いものを持つことです。

脳に対して、体が今のままではダメなんだという信号を与えるからこそ体は変わるのであって、筋トレの本質は自分を限界まで追い込むことです。

難なく持てるダンベルをもって、毎回同じことをしていては鏡に映る体も毎回同じです。

また、怪我をしたのはどこかでフォームが間違っていた可能性が濃厚ですが、骨格や筋力のバランスは人それぞれで、正しいフォームなるものは最終的に自分で見つけていくしかありません。

つまり、怪我をしたということは、自分をしっかり追い込んでいる証拠ですし、自分なりの正しいフォームを習得する最大のチャンスです。

怪我をしたときこそ向上できるチャンスととらえて、心をポジティブにリハビリしましょう。

おわりに

最後の精神論はさておき、スポーツをあまりしたことのないトレーニー向けに怪我への対処の基本を説明しました。

大事なことは、最初はまず安静、しかし、痛みのピークを過ぎたあたりからは少しずつ動かしていく必要があるという点です。

まあ、この、ほどほどの運動と言うのが重いもの持つのが好きな筋トレ好きには一番難しいのですけどね。

なお、個々の怪我への具体的な対処法については、まず病院、続いて専門書です。

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